第2話 情熱

流星台女子高校の屋上。

校則で「立入禁止」なんて文字はない。

自由な校風のおかげで、生徒たちは屋上でお弁当を食べるのも当たり前だった。



入学式から数日後、屋上であかりはなはお弁当を広げていた。

「やっぱり外で食べるの気持ちいい!」光が笑顔で頬張る。

「うん、でも風でおにぎり飛ばされんようにね」花が微笑む。


そろそろ昼休みも終わろうとしていたその時――。

「うぉーーーッ!!」


階段を駆け上がる大声が響き、赤羽煉佳あかばれんかが現れた。


「れ、煉佳ちゃん!?なんしようと!?」花が驚く。

「根性試しの階段ダッシュじゃ!」煉佳は汗を拭きながら笑う。


「負けてられん!」光が真似して階段を駆け下り、再び駆け上がる。

……が、途中で息切れしてふらふら。

「はぁ、はぁ……ムリ……!」


「根性が足りん!」煉佳が高らかに笑う。

「もう、ふたりとも……授業に遅れるよ!」花が呆れて腕を組む。


そんなやりとりの直後。

光は勢いよく口を開いた。

「ねぇ、君!アイドルやらない!?」


「はぁ!?アイドル!?……アイドルって何?」煉佳が目を丸くする。

花が慌てて説明を始めた。

「歌って踊って、みんなを笑顔にする活動で……」


説明を聞いた煉佳の瞳が輝いた。

「日本を明るくできるんか!それならやる!」


「ほ、本当に!?」花はぽかんとする。


「おう!根性でステージ立ってみせる!……ついでに階段ダッシュも一緒にどう?」

「いや、それは遠慮するかな……」


光と花は顔を見合わせ、歓声を上げた。

こうして、最初の仲間・赤羽煉佳が「みんなを明るくする」という理由と体育会魂で、加入することになった。


その熱血さは、この先チームに欠かせない炎になるのだった。

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