凡庸な聖女と蔑まれた私は、追放後、本当の力を手に入れる~聖獣たちを癒す『光彩の歌』で、追放した王家を滅ぼします~
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第1話 凡庸なる聖女
私は、聖女の家系に生まれた。
代々、国を守護する聖獣たちを癒し、その恩恵を受ける王国の象徴。その家系に生まれついた私は、周囲の期待を一身に背負っていた。
だが、現実は違った。
私の聖なる力は、微弱で不安定。光を放つこともできず、ただぼんやりと周囲を照らすのが精一杯。
「やはり、役立たずの聖女様だな」
「あの光では、聖獣を癒すどころか、埃を払うことすらできやしない」
そんな嘲笑が、幼い頃から私の耳にこびりついていた。
それでも、私は努力した。夜な夜な聖なる力を高める修行を重ね、いつか周囲を見返してやろうと、必死に手を伸ばした。
そして、ついにその時が来た。
国を守る守護獣、光の聖獣ルミナスが病に臥せったのだ。その身を蝕むのは、原因不明の呪い。ルミナスの命の光が弱まるにつれ、王国の加護も失われ、作物は枯れ、人々は病に倒れていった。
「セレン、お前がルミナス様を癒すのだ。お前は聖女なのだろう!」
第一王子であり、私の婚約者でもあるアルフォンス殿下は、私に冷たい視線を向けた。彼の瞳に映るのは、希望ではなく、諦めと軽蔑の色。
私は、彼の言葉に震えながら、ルミナスの前に立った。
精一杯、聖なる力を振り絞る。体中の力が、指先から光となって溢れ出すのを感じる。しかし、それは、まばゆい光ではなく、頼りない蛍火のような光だった。
「……弱い。こんな力でどうするつもりだ」
アルフォンス殿下の声が、私の耳を刺す。
私の光は、ルミナスの体をほんのわずかだけ照らしただけで、すぐに消えてしまった。
聖獣は、苦しそうな息を漏らすばかりで、何も変わらない。
「見てくれ、やはりあいつは偽物だ!」
「この国に、もはや救いはない……」
周囲から聞こえてくるのは、絶望と私への罵声。
アルフォンス殿下は、失望に顔を歪ませた。
「無能な聖女め……もはやお前に用はない」
「追放する。辺境の森で、一生自らの罪を償うがいい」
そう言い放たれた瞬間、私の世界は崩れ落ちた。
私は、役立たずの聖女として、この国を追放された。
これが、すべての始まりだった。
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