第11話

◇ ◇ ◇ ◇






『マリ!きいてくれよ!』


『ハヤト?どうしたの?』


『ダイのやつ、オレがたのしみにしてたプリンたべてたんだぜ?』


『あらら』


『“きょっけー”だあんなやつ』


『はいはい。でも、せっかくの“おさななじみ”なんだから、仲よくしようよ。ね、ハヤト…あっ!そうだ!わたしの家にね、シュークリームがあるんだ!ママがたくさん作りすぎちゃって…』


『シュークリーム!?』


『うん。だから、みんなでいっしょに食べよう?ハヤトとダイと…』


『キイチも!』


『ふふ。うん。そうだね。キイちゃんも。』


『じゃあはやくいこーぜ!どうせダイは“ひみつきち”でキイチに“なげき”をしてるはずだ!』


『きょっけい、とかなげき、とか、ハヤトはむずかしい言葉をたくさん知ってるね』


『だろ?おれのあたまのなかは“やきゅー”だけじゃないんだぜマリ!』


『うん。すごい。』













真新しいランドセルを背負う女の子と、黄色い帽子を被った男の子が、手を取り合って走り出す。


不自然に落としたスピードで追いかける、怪しく黒塗られた車の存在に気付く者は、誰もいない。

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