第25話

日曜日――――正確に記すなら、深夜1時を過ぎたから月曜日。



夏休み特有の、学校へ行かなくていいという気楽さに浮かれ、澪も含めた地元の気心知れた男数人で集まり遊んだ帰りである今、現在。



「なんで同じ味を選ぶかねえ」


「知らねえよ」



同じ青色のシロップがかかったかき氷を手に、男2人並んで歩くという、なんとも言えない状況の最中にいる。




さっき、電車に乗り家まで帰る怠さに負け、


『晟、よかったら泊まってけば~?比沙子(ひさこ)ちゃんも会いたいって言ってたし』


澪の通常運転、掴み所ない口調で言われた誘いに、素直に甘えることにした。



地元の数人とは解散し、澪と共に澪宅へと向かっている途中、

比沙子さん…俺に『会いたい』と言ってくれているらしい澪の母親に何か甘いものでも買っていこうと思いつき、目に付いた全国に散らばっている有名なコンビにチェーン店に立ち寄る。




アイス、ケーキ、コーヒー…どれを買うか吟味していれば、



『晟くぅん…』


『…気色の悪い声で呼ぶなよ』


『なー、あれ、食べたくね?今日、熱帯夜だし。』


『…じゃあ、奢るわ。泊めてもらうし。』


『らっき~。ごちそうさん。』



【かき氷はじめました】というカラフルな文字で宣伝してあるポスターを指差し、無邪気に笑う澪の様に呆れ、何か笑えた。





コンビニを後にし、南国の海と太陽とペンギンが描かれたプラスチック容器に入っているかき氷を、がしがし口にかきこむ。



「あー…でも、やっべ。うま。かき氷とか小学生ぶりだわ」


「俺も、そうだな」


「晟もか~。あ、けど確かにこれ好んで食う野朗とかあんまいなさそーだしねえ~。偏見かもしんねけど」



数年ぶりに食べるハワイアンブルー味のそれは、中々美味しい。

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