第50話

「レンさんがその人の思い出話に花を咲かせたいなら一晩中でも付き合うし、レンさんがその人に対してある後悔に溺れそうになったら助けるし、1人でその人との時間に浸りたいなら、私はそっとしておきます。一時的にしか無理だけど、離れます。別れてもいい。落ち着いたら、性懲りもなく何度だって、またレンさんにアタックするから。」


「………………」


「そのことが、レンさんの言うロクデナシなら、私にとっては大したことじゃないので。残念ですが。」





レンさんが俯く。

私が笑う。





ふと薔薇の花びらに視線を伸ばしたレンさんは、1度大きな深呼吸をして。整えて。





次の瞬間にはもう、いつものレンさんが、そこにいた。








「馬鹿じゃないの」


「はい。馬鹿です。私たち。」


「………………。」











レンさん。レンさん。

この3年間、色んなことがあったね。


進まない関係にもどかしくもなったし、

腹も立ったし、

怒らせちゃったし、

呆れさせちゃったし、

泣いちゃったし、

泣かせちゃったし、


本当に、たくさんの感情を共有してきたね。





































「でもね、レンさん。」














「私はレンさんを、愛しています。」






































「だから私と、結婚してください。」

「……ははっ。」




余りにも真剣な形相だったのか。

失礼なことにレンさんはまた、笑った。


声に出して、とても楽しそうに。

力を抜いて、笑った。








そうして私に1歩、近付いて。

腕をとって。

引き寄せて。







「俺を、幸せにして。なこ。」





そう耳元で囁いた蓮さんの声は、少し、震えていた。







「俺、これからがんばって、ちゃんとするから。」

「……………うん。」

「もう、逃げないから。」

「………………はい。」

「一生、なこを守って、幸せにするから。」

「………………っ、」




だから私も、少し震えてきて、力なく笑って、頷いて。








お互いに、幸せな涙を流した。














【 完 】

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