第5話
「なこちゃん、その情報どっから聞いてきたの。ていうか、なんで確信持っちゃってるの」
「だって女性のピンチに駆けつけて、誰を不快にするでもなく撃退してくれたから」
「それはそれはまた大袈裟だねぇ」
ソウさんが食べていたパーティークラッカー、むせた衝動で落としてしまったそれをティッシュに包みながら苦笑する。
その姿までもが、愛らしさ満点だった。
15歳年上の相手に抱く感情ではないかもしれないけれど。
「ていうか違うよ?気付いたのレンだから」
「レン、さん……?」
「うちのギタリスト。ほら、あの壁の片隅でうちのボーカリストといっしょに『『早くお家に帰りたーい……』』って肩並べてる2人の片っぽ」
妖怪やら人間やらがタイトルに混じったかの有名なアニメの台詞を真似ながら指さす、ソウさん。
その人差し指を辿れば、本当に面倒そうで怠そうで眠そうな大人×2が、同じように腕を組み同じように壁に背中を預けている。
メンバーによるメンバーの的確な指摘に、思わず声に出して笑っていた。
そして、ソウさんの腕を引いて、駆け出していた。
「レンさん!テツさん!初めまして!有須川なこです!」
「あー……どうも。」
「初めまして。レンです。」
テツさんの前でソウさんを止めて、腕を放して。
レンさんの前で、完璧を心掛け微笑む。
やる気0の挨拶をしてきたテツさんの肘を、レンさんが肘テツ(偶然の産物)した。
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