第9章 香水師編

第34話 血の魔法

 久々の刺客。

 驚いたことに女性。

 賞金稼ぎにしては珍しい。

 動物をぞろぞろと従えている。

 テイマーだと推測されるが、アンデッドやゴレームの可能性もある。

 ゴーレムに剥製を被せれば、本物にかなり近づく。


「賞金稼ぎのパフューマよ。どうせ、あなたはすぐに死ぬから、覚える必要はないわ」

「シゲだ。女は殺したくない。逃げれば追わない」


「紳士なのね」

「違う。女に暴力を振るうと、愛している女性に嫌われそうでな」


「ふーん、その理由でも紳士であることに変わりはないわ」

「退かないようだな。掛かって来い!」


 パフューマが手で合図すると動物が一斉に、俺に襲い掛かってきた。

 だが、力場魔法で接近できない。


 パフューマは涼しい顔。

 力場魔法が破れるとでも思っているのか。


 動物達の引っ掻いている手足、突進して当たった額などから血が出る。

 むっ、力場だぞコンクリートとは違う。

 血など出るのはおかしい。

 嫌な予感。


 なぜか削られる力場魔法。

 ちっ、動物を先に殺そう。


「【文字置換】」


 超重力の登録して置いた英文を呼び出す。


――――――――――――――――――――――――

文字置換スキル


┌────────────────────┐

│侍魔法言語変換            ▼│

└────────────────────┘


 【super gravity】


📕


 【家老! 裏切り者はその方か! 何故じゃ…… みな、なぜにわしの考えを理解せん…… ドドン、ドンコ(太鼓)♪ 出陣せよ、ドドン、ドドン(太鼓)♪ 死。乾坤一擲じゃな。家中かちゅう! そやつが軍師なのか、つれて参れ! [幕]所業。親を追放するなど、鬼畜よな。苦境…… 大したことなぞない、斬れば済むことよ…… そりゃ!! 死ねるか!! 落ち武者? 負け犬など、物の数ではない、討ち取ってしまえ、我こそはと思う者はおらんか? 城!(驚) 援軍要請か、持ちこたえろと伝えよ!(驚) ボー(ほら貝)♪ このような品が欲しいなど、欲のない奴じゃ、ボー(ほら貝)♪ なんと、乱戦!! 援軍を送ろうぞ!! 】

――――――――――――――――――――――――


 無詠唱。

 動物は血しぶきを上げてミンチになった。

 くっ、超重力だぞ。

 なんで血しぶきが上がる。


 血に触れた魔法が解除されているのに気が付いた。

 辺りは血の霧。

 魔法解除の血ってなんだよ。

 どんな理屈だ。


 どんな魔法なのか推測ができない。

 俺の体に投げナイフが刺さった。

 力場魔法が解除されている。


「【文字置換】」


 人工細胞の登録して置いた英文を呼び出す。


――――――――――――――――――――――――

文字置換スキル


┌────────────────────┐

│侍魔法言語変換            ▼│

└────────────────────┘


 【make artificial cells】


📕


 【本陣。そろそろ攻めるか。ふむっ。手を打たねば。将軍。(笑) そろそろ、斬り時かのう。(笑) 死。下戸なのじゃな、そんなものでは死なん。[幕]ザシュ(斬撃)♪ みなの者、根切りじゃ(無音)♪ 小姓! 早馬の用意を申し付ける! くっ。(苦鳴)♪ わしも悔しい(嗚咽)♪ 火が!! なにっ、敵の城が燃えておるじゃと!! 敵将!!(驚) 先陣切るとはやるのう!!(驚) 斬れ! 忠義の邪魔になる雑念を切るのじゃ! くっ、無念だ…… お主、何とかしろ…… 酒。(笑) 慰みぞ(笑) そりゃ!! 身分を忘れ、存分に楽しむが良い!! 卑怯な…… 起請文を破ったのか…… [幕]かっ、ぬかった…… まだ再起を期すことは可能ぞ…… く…… なんのこれしき…… 卑怯な…… 報復じゃ、覚悟しとれ…… 武者ぶり! 助かったぞ、あとで褒美を取らす! 掛かれ!! 大将首を取ってくるのだぞ!! 】

――――――――――――――――――――――――


 傷は塞がって、肉が盛り上がり、刺さってたナイフが落ちる。

 急所に当たったら死ぬ。


「【文字置換】」


 思考加速の登録して置いた英文を呼び出す。


――――――――――――――――――――――――

文字置換スキル


┌────────────────────┐

│侍魔法言語変換            ▼│

└────────────────────┘


 【I nearly died and it went into slow motion】


📕


 【殿との! 如何した! [幕]年貢。一揆が起こりそうじゃと。矢!(驚) これからは種子島の時代ぞ!(驚) ザシュ(斬撃)♪ その方が謀反を企んでいることは知っておる(舌打ち音)♪ 小姓! 早馬の用意を申し付ける! いかん退け…… 殿しんがりは任せた…… なんと、乱戦!! 反撃じゃ!! [幕]そっ首!!(驚) 貰うぞ、乱世よのう!!(驚) 城!(驚) 与える、忠義を尽くせ!(驚) く…… 泣くほどのことか、わしも目頭が熱くなったわ…… 笑止!!(笑) このぐらいでは死なん!!(笑) [幕]飢饉…… 買うしかなかろうな、商人を呼べ…… 乱世。影武者は必要じゃ。じゃのう。なんぞ策を考えねば。[幕]城!(驚) 敵の城が落ちたか!(驚) ボー(ほら貝)♪ このような品が欲しいなど、欲のない奴じゃ、ボー(ほら貝)♪ [幕]ブオー、ブー(ほら貝)♪ 黒鉄来い、ピー(口笛)ヒヒーン(馬)♪ く…… やかましい…… 乱波? そうか、そのような策が? むっ…… 出会え…… [幕]酒。(笑) 拙者は酒に呑まれれたぞ。(笑) 年貢。軽くしてやるが良いぞ。ボー(ほら貝)♪ うるさい、誰が吹いておる、ボー(ほら貝)♪ 忍者じゃ? 報告の書状じゃな? [幕]掛かれ!! 一番槍は誰ぞ!!  いかん退け…… こうも敵に勢いがあるとは…… キンカンかっ? その方が裏切るとは、なぜじゃ? ブオー、ブー(ほら貝)♪ 戦じゃ、カキン(金属音)♪ [幕]忍者? 書状を届けよ、褒美なら帰ってからでは不満か? 安穏じゃ! その方もそう思うか! むっ…… 諫言は要らぬ…… 城!(驚) 抜け穴から攻めて来たのじゃな!(驚) 天守じゃ。お役を希望か、文官希望とはな。天下。(笑) まだ、遠いのう、ふふふっ(笑) 】

――――――――――――――――――――――――

 無詠唱。

 スローモーションになる。


 血の謎を解かないと、負ける。

 おそらく魔法だろう。

 血に魔法が混ざっている。

 どういう魔法だろう。

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