第2話 宿敵との会話

 まずは小手調べ。

 鍵付きの日記帳に侍魔法言語で呪文が書いてある。

 鉄の砲弾魔法のページを開いて、無詠唱で起動。

 鉄の砲弾が、目にもとまらぬ速さで飛んで行った。

 侍魔法言語は最強なんだよ。


「ぐはぁ……」


 敵は腹に大穴を開けて死んだ。

 小手調べで死ぬとはザコだな。

 まあ、最強の俺ならこんな物。


 敵は死ぬと灰になった。

 灰になるのはそういう魔法が掛けられている。

 秘密を守るためだ。

 死んだ脳からも、知識を引き出せると聞いている。

 魔法使いの門派である程度、大きいところはみんなこんな魔法を門弟に掛けている。


 鉄の砲弾魔法の翻訳はこんな感じ。


――――――――――――――――――――――――

翻訳スキル

┌──────────┐ ┌──────────┐

│日本語      ▼│→│英語       ▼│

└──────────┘ └──────────┘


 地中の砂鉄で作った鉄の砲弾を飛ばせ。


🎤


 Fire iron cannonballs made from iron sand underground

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 文字置換はこんな感じ。


――――――――――――――――――――――――

文字置換スキル


┌────────────────────┐

│侍魔法言語パターン2         ▼│

└────────────────────┘


 【Fire iron cannonballs made from iron sand underground】


📕


 【敵じゃな? 斬れ、待った、合言葉は? 酒。(笑) その方も飲め(笑) もらった!! さあ、飲め!! 死。背水の陣じゃ。[幕]

 酒。(笑) 拙者は酒に呑まれれたぞ。(笑) もらった!! さあ、飲め!! キンカンかっ? 戦になりそうじゃ、その方はどう思う? 茶器!(驚) そなたにつかわすための物ではないぞ!(驚) [幕]

 かっ、ぬかった…… まだ再起を期すことは可能ぞ…… そりゃ!! 死ねるか!! 茶器!(驚) 茶器を贈り、戦を収めるのだ!(驚) 茶器!(驚) そなたにはこれを与える!(驚) キンカンかっ? 不満か? 茶器!(驚) そなたにつかわすための物ではないぞ!(驚) くっ、負けぬ…… 出世争いもほどほどにな…… そりゃ!! 死ねるか!! 謀ったな…… ふむ、退却すべきか…… 謀ったな…… その手できたか、うかつであったわ…… お主? 名を名乗れ? [幕]

 忍者? 書状を届けよ、褒美なら帰ってからでは不満か? そりゃ!! 曲者ぞ、まだいるぞ!! そっ首!! 獲るぞ、目指すは大将首ぞ!! 死。背水の陣じゃ。[幕]

 敵じゃな? 斬れ、待った、合言葉は? もらった!! 何奴!! キンカンかっ? 戦になりそうじゃ、その方はどう思う? 忍者? その方が裏切り者か? [幕]

 酒。(笑) 拙者は酒に呑まれれたぞ。(笑) もらった!! さあ、飲め!! キンカンかっ? 戦になりそうじゃ、その方はどう思う? 茶器!(驚) そなたにつかわすための物ではないぞ!(驚) [幕]

 お主? 何奴? そりゃ!! 曲者ぞ、まだいるぞ!! 茶器!(驚) 茶器を贈り、戦を収めるのだ!(驚) そっ首!! 差し出しても城はやれん!! [幕]

 馬じゃ!(驚) 褒美に遣わす!(驚) 茶器!(驚) そなたにはこれを与える!(驚) そっ首!! 差し出しても城はやれん!! 死。背水の陣じゃ。もらった!! ふむ、嫁をもらったのか!! 合戦だ!! ここが天下分け目の合戦ぞ!! もらった!! 足軽になどやれぬ、笑止千万!! キンカンかっ? 戦になりそうじゃ、その方はどう思う? 馬じゃ!(驚) 早馬じゃ、急げ!(驚) 茶器!(驚) そなたにはこれを与える!(驚) そっ首!! 差し出しても城はやれん!! 】

――――――――――――――――――――――――


 英文はわざと長くしてる。

 単語が沢山あると、どの単語が何を指しているか判らないからだ。

 侍魔法言語パターン2を使った。

 全部の英語文章を同じパターンでなくても構わない。

 単語ごとにパターンを変えるのもありだ。

 もちろん単語の真ん中辺でパターンを変えても良い。

 誰かに見られたら変更するつもり。


「わはははっ見たぞ!」


 この声はフェアフェーレンをさらったレスティガーの声。

 怒りを心の奥底に沈める。

 戦いは冷静に行わないと負ける。

 レスティガーのことだから、この場にはいない。

 魔法で見て、声を届けている。


「何を見たんだ?」

「貴様の呪文だよ。無詠唱が危険だって教わってないのか。千里眼魔法もあるんだぞ。聞き耳魔法なら、小声の詠唱でも聞こえるがな」


「何だ、そんなことか。俺の侍魔法言語を解析できるならしてみろ」

「推測ならできる。シャール語で書かれているから、恐らく時代劇の台本を暗号化に使っている」


 狙い通りだ。

 そう勘違いしてくれたら嬉しい。

 台本などないからな。


「それで?」

「文字を順番に数字にして、その数字を元に台本の場所を決定しているのだろう。すぐに台本も暗号化の法則も突き止められるはずだ」


「まあ、頑張れよ」

「微妙に筋書きが出来てるな。これなら特定は難しくなさそうだ。謀反と戦いの劇だと、素人にも判る」


 恐らくこいつ解ってないな。

 舐めプしてやるか。


「おい、無詠唱しかできないと思っていないよな?」

「そんな基本は貴様に教わらなくても解る。予め対処してない魔法で攻撃されたら、防御魔法を破られる前に、対処の魔法を作り出せないと、負けだからな」


「リクエストしてみろよ」

「ふんっ、その余裕が貴様を滅ぼす。では、点滅する灯りの魔法をやってみろ」

「【翻訳】」

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翻訳スキル

┌──────────┐ ┌──────────┐

│日本語      ▼│→│英語       ▼│

└──────────┘ └──────────┘


 点滅する灯り。


🎤


 flashing lights

――――――――――――――――――――――――


 さて、4パターンで変換してやるか。

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