第37話 ヨーロッパコマドリの襲来
3人は、自宅前に到着。
東郷が指紋認証等で開錠し、扉を
「
日本語と外国語が混ざった挨拶を行った長身の女性が、ビシッと綺麗な敬礼を見せる。
身長と体重は、それぞれ180㎝、55㎏。
この体格でのBMI数値は16・98.
モデル体型に多いとされるのが、BMI数値が17~18なので、それよりかは
ただ、スリーサイズがそれぞれ、
BMI的には痩せ型であるが、
着ているのは、自衛隊が外出や内勤等で使用している黒色の常装だ。
「「……」」
室内に美しい外国人女性が自衛官の通常勤務服を着て待っていた状況に、クラリッサ、凛は戸惑いが隠せない。
自衛官(?)は、破顔一笑で尋ねる。
「先輩、
「……
「
「……オルガ」
「
「……何故、ここに居る?」
「人事異動で来ました。
「……そうか」
珍しく疲れたような表情で、東郷は敬礼したままのオルガに軽く手を振った後、扉を閉まるのであった。
「メネー・ズヴァーティ・オルガ。ヤズ・ウクライーヌィ。ドゥージェ・ラダ・ポズナヨームィティシャ」
「「……」」
スラスラと流れてくる外国語に、凛とクラリッサは、何も反応することが出来ない。
用意された座布団に正座で腰を下ろしたオルガから出てくる言葉に、日本語が殆ど出てこない。
そこで漸く
「先輩、
「今のを翻訳アプリで見せるよ」
東郷が携帯電話の画面を見せる。
そこには、和訳された文章が表示されていた。
『
『
『
「ああ、ウクライナの方なんですね」
画面を見た凛は、納得した。
見た目的に東欧系と感じていた勘が当たったのだ(流石に国までは分からなかったが)。
都内では、ウクライナ人を見る機会が多い。
2022年、ロシアによる侵攻によって生まれた多くの避難民の一部は、日本に渡った。
2023年12月時点で、入国管理局によれば一時避難民を含む4212人のウクライナ人が居る。
令和7(2025)年9月30日時点(速報値)では、都内には約600人の避難民が滞在している。
47都道府県 1942人 (人)
東京都 639
千葉県 167
神奈川県 163
大阪府 132
愛知県 119
兵庫県 101
埼玉県 73
京都府 60
福岡県 57
茨城県 41
広島県 38
大分県 29
宮城県 27
群馬県 26
北海道 静岡県 22
滋賀県 20
宮崎県 19
富山県 長崎県 18
山梨県 17
鹿児島県 15
石川県 佐賀県 12
熊本県 11
岐阜県 10
奈良県 9
岡山県 沖縄県 8
福井県 徳島県 6
新潟県 和歌山県 5
秋田県 4
山形県 長野県 香川県 3
青森県 栃木県 2
岩手県 福島県 三重県 鳥取県 島根県 山口県 1
愛媛県 高知県 0
その他 4
※出国済み等が居る為、避難民入国者数とは不一致
※数値は都道府県に届け出られた中長期在留者で、短期滞在や未届けは「その他」扱い
避難民の約3人に1人が都内に居るのがウクライナ人避難民
在籍している学校にも何人か、避難民の学生や生徒、児童が居る為、凛も接点が皆無という訳ではない(言語の壁がある為、積極的には交流はしていないが)。
「先輩ト、再会デキテ、
今まではウクライナ語が主体だったが、なんだかんだで日本語も話せるようだ。
「俺も嬉しいよ。それで何故、来たんだ?」
「私ハ、
「……他にも来ているのか?」
「
マリア宮殿はウクライナの首都のキーウにある大統領官邸だ。
日本で言えば、千代田区にある首相官邸に相当する。
犯罪者の強制送還というのは、主に汚職や徴兵逃れだろうか。
防衛戦争中のウクライナであるが、国内ではその二つの問題に悩まされている。
2022年
2月以降
政府は、18~60歳の男性の殆どを出国禁止に
英メディアによれば、同時期から翌年8月末までの間にウクライナと国境を接するルーマニア等に不法入国したウクライナ人男性は、合わせて1万9740人
途中で拘束されたのは2万人超で、その内の6800人がウクライナ当局によると、捏造した病気で兵役免除を理由に出国を図っていた
12月14日
反汚職高等裁判所が親露派政策を行い、2014年の政変で国外に逃亡した元大統領の全財産を接収し、国有財産とする決定
接収された財産の中には、複雑な経緯を経て政府から元大統領個人に所有権が移った150
2023年
1月
汚職容疑の高官11人が辞職
2月
富豪や元内相を家宅捜索
5月
国家反汚職局と反汚職専門検察が汚職容疑で最高裁長官を拘束
8月
大統領「兵役を免除される人が昨年2月以降、それまでの10倍に増加」
とし、国の医療軍事委員会の「腐敗した判定」を批判し、各地で徴兵担当の全当局者の解任を発表
11月1日
……
「なるほどな」
「ト、言ーウ訳デ、オ
嬉しそうに敬礼するオルガ。
しかし、東郷は渋い顔だ。
「偽装は良いが、この国では自衛官等の制服を外部の人間が着るのは、罪に問われる可能性がある」
『【軽犯罪法】
1条
左の各号の1に該当する者はこれを拘留又は科料に処する
1条-15
官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらの準ずるもの詐称し、又は資格のないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、紀章その他の標章、これらに似せて作った物を用いた者』
オルガは「自衛隊員の制服を着た外国人」ということで、目立っていたことだろう。
「目立つ行動は慎むんだ」
「
分かっているのか、分かっていないのか。
笑顔で返事をするオルガ。
その様子にクラリッサは、思う。
(天然なのかな?)
と。
[参考文献・出典]
ウクライナ大使館
https://www.moj.go.jp/isa/content/001373694.pdf
朝日新聞 2022年12月15日
BBC日本語版 2023年8月12日
BBC日本語版 2023年11月18日
産経新聞 2023/11/2
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