第三章 尊敬と悪用
第17話 思いの変化
ソフィアの監督生としての仕事ぶりは、アエルの生徒たちの心に変化をもたらしていった。
最初のうちは、彼女を訝しげに見る生徒ばかりだった。しかし、ソフィアは魔法が使えないにもかかわらず、生徒一人ひとりの魔力の流れや特性を冷静に観察し、的確なアドバイスを与えた。
「……魔力を、もっと優しく包み込むように」
何度試してもバリアを上手く張れないと嘆く生徒に、その生徒の魔力の波長を読み取るように観察し、そう囁いた。言われた通りにしてみると、不安定だったバリアは、ガラスのように滑らかで頑丈なものに変化した。
「すげぇ!なんでわかったんだ?」
「……魔力が震えてたから」
ソフィアの言葉に、生徒たちは驚きを隠せない。彼女の観察眼は、どんな教師よりも鋭く的確だった。
「監督生さんって、凄いね。魔力がないのに、魔法のことがこんなにわかるなんて」
「最初は面倒な監視役だと思ったけど、意外といいかもな」
アエルの生徒たちの間で、ソフィアに対する評価は変わっていった。嘲笑や疑念は、次第に尊敬へと変わっていく。彼女は口数が少なく、感情をほとんど表に出さない。だがその言葉には、生徒たちの魔法をより良くしようとする、静かで確かな熱意が込められていることを、彼らは感じ取り始めていた。
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