第8話「愛の証明、初めての夜」

 俺の手から放たれた光は、ゼノンの体を優しく包み続けた。

 どれくらいの時間が経っただろうか。

 光が消えた時、彼の胸を貫いていたはずの傷は、跡形もなく消え去っていた。


「……ハルキ」


 かすれた声で、ゼノンが俺の名前を呼んだ。

 ゆっくりと開かれた赤い瞳に俺の姿が映り、彼は安堵したように息をつく。


「よかった……目が覚めたんだな」

「お前の力か……温かい、光だった」


 俺は彼の体を抱きしめた。まだ生きている。その温もりが、何よりも愛おしかった。


「ごめん……俺のせいで……」

「謝るな。俺が、お前を守りたかっただけだ」


 ゼノンはゆっくりと体を起こすと、城壁の上に立つ騎士団を一瞥した。

 その瞳に宿るのは、絶対零度の怒り。


「さて、俺の宝を傷つけようとした愚か者たちには、相応の報いを――」

「待って!」


 俺はゼノンの腕を掴んだ。


「もう、やめてくれ。戦いはもう終わりだ」

「だが、ハルキ」

「お願いだ。俺は、お前にも、彼らにも、もう傷ついてほしくない」


 俺の真剣な瞳を見て、ゼノンはしばらく何かを考えていたが、やがてふっとその力を収めた。

 そして、騎士団に向かって高らかに宣言した。


「聞け、人間ども。勇者ハルキは我が伴侶となった。これ以上我らに手を出すというのなら、今度こそ容赦はせん。命が惜しくば、即刻立ち去れ」


 その言葉は、騎士団だけでなく、俺にとっても衝撃的だった。

 伴侶? 俺が?


 騎士団は混乱の末、ひとまず撤退していった。

 嵐が去った城で、俺とゼノンは二人きりで見つめ合う。


「あの……伴侶って、どういう……」

「言葉通りの意味だ」


 ゼノンは俺の手を取り、その甲に優しい口づけを落とす。


「ハルキ。お前の癒しの力は、ただの魔法ではない。愛する者を想う心が起こした奇跡だ。そして、その力に触れたことで、俺の魔力も、魂も、以前より遥かに満たされているのを感じる。お前は俺にとって、もはやなくてはならない存在なのだ」


 真摯な告白に、顔が熱くなるのがわかった。


「俺も……お前が好きだ、ゼノン。お前を失いたくないって思って、初めて自分の気持ちに気づいた」


 想いが通じ合った瞬間、どちらからともなく唇を重ねていた。

 最初は優しく触れるだけだった口づけは、次第に熱を帯びていく。


 その夜、俺たちは初めて体を重ねた。

 ゼノンは俺を宝物のように優しく、それでいて彼の独占欲を示すように激しく求めた。

 与えられる快感に戸惑いながらも、俺は彼の全てを受け入れた。

 肌を重ねることで、彼の孤独も、痛みも、そして俺への深い愛情も、全てが流れ込んでくるようだった。

 俺たちは、身も心も、完全に一つになったのだ。

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