AURORA

オスカー

プロローグ

人類は新たな歴史を刻んだ。アルテミス計画・・・人類は2027年8月7日に約58年ぶりに月に足を踏み入れた。NASAはさらに、8年後の2035年に月から火星に降り立った。それからというもの、アルテミス計画成功から早16年。人類はこれまで、月開発などを行なってきた。月旅行会社も増えており、ますます月は盛んになり、火星も豊かになっていった。


「ジィジィジィ・・・」変な音の目覚まし時計が鳴り、僕は起きた。目覚まし時計は昼の11時を指していた。「うわぁ・・・」大きなあくびとともに、体をベッドから下ろした。数秒の無意識の状態の後に、スリッパを履き部屋を後にした。


今日は2042年8月7日。16年前、人類が再び月に行った。その後、月宿泊会社などが増えたが、地球とは環境が違うため、事故が多発していた。月に住むなら、トイレの仕方や遊び方などは知っておく必要はあるかもしれない。なぜなら、トイレの場所が月の重力を受けるところだったら、大便をしてすぐにお尻を拭いちゃう人は何とは言わないが、手にあれがついてしまうことがある。


僕は考えることをやめると、何もなかったかのようにリモコンを手に取り、テレビをつけた。僕は普段の仕事に疲れて、ズル休みをした。僕だけの特別休暇だ。


僕の好きなニュース番組は「おはよう!!モーニング」というものだ。名前はかなり可愛い感じだが、3年前に子供にも今のアメリカを知ってもらおうと企画された番組だ。僕がこの番組を見るのは可愛いアナウンサーがいるからだ。水色のワンピースを着て、笑顔が素敵で、とにかく、美人なアナウンサーだ。多分、ライバルはたくさんいるだろう。とにかくそれくらい、可愛い人だ。


「次のニュースです。宇宙無人探査機"AURORA"が行方不明になりました。AURORAは2032年地球から打ち上げられ、2035年に初ミッションである、土星とその衛星を探査していました。」


僕の推しのアナウンサーが別に深刻でもないような顔で台本を読んだ。いや、これはかなり深刻ことだ。なぜなら、宇宙無人探査機"AURORA"は人類の生存をかけた、最後の望みだったからだ。


だが、まだそんなことを知らなかった僕はニュースのことは気にしなかった。


「ズゥズゥ・・・」砂糖マシマシのコーヒーをすすりながら考え込んだ。僕ははっきり言うと、この世界に飽き飽きしていた。人生うまくいかないからだ。もっと具体的に言うと、あれは2年前の12月の冬のことだった。


横断歩道で青信号になるのを待っていた、障がいがある車椅子の年配の女性に、「押してあげましょうか?」と言った時に返された言葉が「そんなに、悪い体じゃないよ!!」だった。あれはとても不快だった。


まあ、僕がこの世界が嫌いな理由はそればかりではないが、今はとにかく腹が減ってしょうがない。僕はまっすぐ冷蔵庫に向かい、卵とレタスを挟んだサンドイッチとりんごを取り出した。


「おはよう!!モーニング」を見ながら朝食をとっていると、スマホがなった。どうやら、同僚かららしい。僕はNASAの物理学者で宇宙飛行士だ。その電話の相手は同僚で後輩だが、仕事はかなりこなしている。


正直言って、僕よりスペックが上かもしれない。僕が電話に出ると、同僚はどうやら、AURORAの話をしようとしているみたいだった。


「さっきのニュース見ましたか?AURORAが行方不明になったって。あの、『おはよう!!モーニング』はニュース番組の中でも特に、情報収集能力が高いですからね。僕たちより、ニュース番組がその情報を知っているのっておかしくないですか?(笑)とにかく仕事に行きましょう。NASAで待ってますよ。」


同僚が言って電話を切った。僕は仕事に行きたくないからとわざとゆっくり朝食を楽しんだ後、コーヒーを飲み干し、出勤した。

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