地球沸騰化で女子の制服がビキニになった!【短編】

震電みひろ

第1話 学校でビキニJKを見放題!

六時間目の化学基礎の授業が終わり、担任の教師が言った。


「かねてから周知してある通り、明日から制服が夏服になります」


それを聞いた瞬間、


「「「「ぅうおおおおぉぉぉぉぉ!!!」」」」


教室内の男子生徒から、雄叫びが上がった。

いや、教室内だけではない!

ほぼ同時刻にホームルームを行っているらしい、他クラスからも同様の叫びが聞こえる。

彼らは何をそんなに歓喜しているのか?



ここで状況を説明しよう。

昨今の地球温暖化、いや地球沸騰化は凄まじく、7~9月の平均気温は38度の体温越えが普通となった。

だが原油の値上がり、そして円安、それによる電気料金の値上げはハンパなく、学校としても予算が非常に苦しいらしい。

特に設備が古い校舎などはエアコンは事実上ないに等しく、夏の授業はサウナ風呂状態だ。

そのため日本中で授業中に熱中症で倒れる学生が続出した。

大型の送風機などが各クラスに導入されたが、そんな程度では焼け石に水。

そこで文科省はやむなく「夏服・春秋服・冬服」の3シーズンの制服切替制度にしたのだ。



そしていま男子が騒いでいるのは……ウチの高校の夏服は、ほぼビキニだからだ!

イメージ的に言うと、バストの部分だけが隠れるようになっているセーラー服と言えばいいだろうか?

そのセーラー服もオフショルダーで肩紐のみ、サイドはメッシュになっていて風通しはいいが透けて見える。

もっともビキニのトップスと同じ構造なので、見えてはならない所が見える事はないが。

ボトムの方も、ビキニで腰回りにだけ申し訳程度にスカート状のヒラヒラが着いている程度だ。

つまり男子生徒にとっては、教室に居ながらにして『プールサイドやビーチにいる女子高生を眺められる』のと、ほぼ同義なのだ。

ちなみに男子の方は短パン姿に謎の短いボレロ状のジャケットで、かなり間抜けな格好だ。



歓喜の声を上げる男子の一方で、クラスの女子たちの反応は様々だ。


「男子~、なに喜んでんだよ」

「ヤラシィ~」

「アンタらだって、海パン姿なんだからね!」


と笑いながら黄色い声を出している女子もいるが、冷たい視線で男子を見てる女子や、俯いている女子もいる。

この中で「冷たい視線の女子」というのは分かるだろう。

そんな事で喜んでいる男子たちをあからさまに軽蔑しているのだ。

まぁ真面目な女子ならそういう反応になるだろうな。



では俯いている女子たちは?……自分のスタイルに自信がない、もしくは太っているとかか?

そう言わざらんやそう言えるだろうか、いやそんな事はない(反語)

中にはスタイル抜群だが、それを隠したい女子だっているのだ。



俺は横目で二列向こうにいる女子を見た。

予想通り、真っ赤な顔をして俯いている。

彼女の名前は、葛城加奈かつらぎかな

黒髪ショートカットでメガネを掛けている、内気で大人しい15歳の女子高生だ。

普段から一人で小説を読んでいて、あまりクラスの他の連中と話している姿は見ない、目立たない少女だ。

だが俺は知っている、その制服の下に隠された彼女の本当の姿を。


加奈は身長154cm、体重51kgとこの点はまぁ標準だろう。

しかしそのスリーサイズはと言うと……

バスト92cmのGカップ、ウエスト61cm、ヒップ89cmのボン・キュッ・ボンのナイスバディなのだ。

なぜ俺がそれを知っているかと言うと……

俺と加奈は幼馴染で母親同士はママ友であり、何度か互いの家を行き来している。

そこで彼女の自宅でのTシャツとホットパンツという姿を何度も見ている。

よって俺は加奈のナイズバディを知っている訳だ。


だが高校の制服と言うのは、グラマー女子が着ると太って見える事がある。

彼女は雰囲気が暗いせいもあってか、他男子からは「デブ」と思われているのだ。

もっとも本人はその方がいいらしい。人目にはつきたくない性格なのだ。

だが明日からは夏服というビキニ姿になる。

否が応でも加奈はそのグラマラスなボディをクラスメート男子の前にさらけ出す事になる


(アイツの性格だと、かなり苦痛だろうな)


俺はそう思っていた。



学校が終わって家に帰ると、母親が待っていたように声をかけてきた。


秀史しゅうじ、アンタ悪いけど葛城さんの家にお米持って言ってくれない?」


「加奈の家に米を? なんで?」


「ウチはおじさんの家が農家でしょ。それで『お米を買っておいて欲しい』って頼まれていたのよ」


なるほどね。最近はスーパーで買うと米は高いからな。

その点、おじさんは米農家なので安く分けてくれる。


「10キロだから母さんじゃ大変なの。だから秀史にお願いしているのよ」


「わかった。着替えたら行って来るよ」


俺は自分の部屋で制服から私服に着替えると、再び階下に降りて行った。


「それじゃ、コレをお願い」


母親に渡された米が入った袋は、ズッシリと重かった。



ギラつく太陽の下、俺は米をかついで歩いた。

今日は6月30日。

本来ならまだ梅雨のはずだが、最近は梅雨の期間がめっきり短くなり、もう完全に真夏の日差しだ。

加奈の家までは200メートルほどだが、その間に汗が噴き出してくる。

やっと加奈の家まで到着した俺は、インターホンを鳴らした。


「はい?」


スピーカから加奈の声が聞こえる。


「俺、秀史だけど、母親に言われて米を持って来た」


「ちょっと待ってて。いま玄関を開けるから」


そう言ってしばらくすると、玄関の鍵を外す音がしてドアが開いた。

加奈が顔を出す。


「これ、母親に言われて持って来た。加奈のお母さんに頼まれたんだって」


俺はそう言いながら米袋を差し出した。


「あ、ありがとう。でも重かったでしょう?」


「いや10キロぐらいだから大したことないよ」


「でも秀史くん、汗だくだよ」


「今日は暑いからな。マジ最近の暑さは異常だよな」


すると加奈は少し考えるような顔をした後


「良かったら少し涼んで行かない? 冷たい飲み物があるから」


と言って大きくドアを開いた。

正直、喉が渇いていたので「ありがとう。じゃあお邪魔するよ」と有難くその申し出を受ける事にした。

10キロの米を手にしたまま、加奈の家に上がる。


「コメ、どこに置こうか?」


俺がそう尋ねると加奈は「じゃあキッチンの所に置いておいて」と答えた。

俺は米袋を冷蔵庫の近くに置くと、周囲を見渡した。


「もしかして、今は加奈一人だけか?」


「そう。お母さんはパートに行ってるから。あ、リビングに座っていて」


そう言われた俺はキッチンと続きのリビングの床に腰を降ろす。

すぐに加奈がコーラの入ったグラスとタオルを出してくれた。


「ありがとう」


俺はそう言ってタオルで顔の汗を拭き、コーラを一気に半分ほど飲み干す。

加奈も自分のマグカップにコーラを入れて、俺とは90度の位置に腰を降ろす。


「お代わりならあるからね」


そう言ってくれた加奈の表情が何となくだが暗い。

俺はその理由がわかるのだが、一応聞いてみる。


「元気ないな。大丈夫か?」


「うん」


「悩み事は、明日からの夏服か?」


「……うん」

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