どうしよう、素敵な作品に出会えたのでレビューを書きたいのに、どう書いたものかわからない……。下手なレビューにお付き合いいただいても申し訳ないので、まずここで「どうか読んでくださいませ」とお伝えしておきます。
ええと、内容としては病気で弱った孤独な男が薬草を採りに森へ入ってから出られなくなってしまい、やがて古い松の木に彫られた女を見つける——という感じなのですが、これがとっても綺麗なんです。
男に名前を与えられたこの女が、次第しだいにかわいらしく思えてきます。
美しい結末が待っています。ぜひ読んでみてくださいませ。
本当に素敵な作品に出会えました。ありがとうございます。
山の中で、たった一人で宿痾を背負い、
薬草を探す男。もう既に両親を喪った。
苦しい息の根が止まるのも、そう遠い
事ではないと思いつつ。
背に籠を背負い、見慣れた山の中を一人
彷徨う。
山鳥の羽音、野狐の視線。
秋の気配を感じる山の中で
色づいた梔子の実、薬草を只々探して木々の間を、薄の藪を
血の混じった息を切らせて歩き回る。
ふと、見ると。太い松の木の根元に
晴れ着の女が佇んでいた。
否、幹に彫られた女が唄う。
かごめ かごめ 籠の中の鳥は
いつ いつ 出やる
隠り世の虜は死への恐れはない。
けれども男は願う。
人としての死を。
かごめ
そう呼ばれた女は願いを
聞き入れるが。
──── その後の彼を誰が予想したか。
誰も予想だにしない、驚愕の結末が。
そう、誰にも予想する事は不可能だ。
籠の目をこじ開けて。
そこには。