これほど、白濁にこだわった文学(敢えて文学と呼ばせていただく)が他にあるだろうか。
青山翠雲氏の人気作の一つ、芥シリーズⅠ〜Ⅴに新たに書き下ろしたⅥを加えて18万字の長編に仕立てた作品。
ストーリーとしては、ジャーナリストの血を引くITエンジニアという主人公青山翠雲が、惑星探索をする場面から始まる。
ご存知の通り、青山翠雲氏の作品はどれも内容が一見とても高尚である。
本作も例外ではなく、ウクライナ情勢をはじめとする国際問題、古古古米などと話題を攫った国内情勢等、国内外の時事や政情に関する青山氏の深い考察が、風刺を交えながら独特な筆致で描かれている。
かと思えば、そこからアホみたいな状況に展開する、その落差がまるでジェットコースターのてっぺんから落ちるような爽快感を生み、癖になるのだ。だからこの壮大な作品を私が読むのは、実は3回目だ。
そして、将棋の棋士を主人公に描いた『量子と精神』以来、青山氏が拘ってきた射◯(◯にはコメへんの漢字が入る)の場面がふんだんに描かれていて、とにかく辺り一面が白濁している。
この作品はもう白濁文学と呼んでいいだろう。
ところで、芥シリーズはジャンルがSFだったのだが、この作品のジャンルは異世界ファンタジーになっている。その理由は最後の書き下ろし芥Ⅵに記されていて、その理論にも納得できるであろう。
青山翠雲氏が放つ、スーパーウルトラ抱腹絶倒シリーズ、ここにまとめて一挙公開。
執筆当時・最新の時事ネタをばっちり押さえているから、読みながら「ああ、この時こんなだった!!」と脳に電流が走る。
のっけから始まる奥深く高い、理論の山脈。
青山氏の深い知識・・・容易には得られない、このどろりとした深遠なるインテリジェンス。
これを樽の底から大きなひしゃくで汲み取るがごとく、たっぷりと、我々の掌に置かれたパンの上に、滴るほど注いで塗りたくってくれる。
それにかじりつくこと。これが青山ノベルズに於ける読者へ向けた ”洗礼儀式” であり、おおいなるカモフラージュである。
その理論の山脈を越えた先に広がる、抱腹絶倒の世界。
大人が「にや」どころか「ぶはっ!」と吹き出してしまうレベル。
どの話も確実に、安定した大爆笑を提供してくれる。
その合間に刺さり込む、強烈かつ秀逸な風刺。
これを読めば、だれもが大きく頷いてしまうことうけあい。
読まねば損・・・読めばたちまち、爆笑ののち歓喜に至る。ぜひどうぞ!!!