錯誤主義(illusionism)

鏡の中でしか生きられない存在

透明な嘘に包まれる日々

それを錯誤主義と呼ぶのなら

僕はそれにどっぷりと浸かっている


本物よりも鮮やかな偽物

本物って何?

イミテーションでも満足出来るなら

それはそれで良い


触覚の裏切りを知る瞬間がある

裏切られたと一瞬思うけれども

即座にそれに慣れる


本当の痛みを模倣する痛覚

痛覚こそがすべて

痛覚は嘘を付かない


偽物の涙に濡れた頬

流す涙は本物であるとは思う

感情が揺れるのだから


誰もいないはずの観測者に怯える

監視カメラの向こう

誰もいないとわかっていても


嘘を信じることで保たれる日常

そう、嘘だらけなのだ

作られた平和はすぐそこに

例えば整備された公園に


嘘にすがることでしか生きられない

ならばそれで良い

とかくこの世界は錯誤主義なのだ

嘘の世界なのだ


証拠なき真実の微笑

それは母親の幻影

優しく微笑めば微笑むほど

僕はそれに騙される


消失する瞬間だけが確かな存在

消滅、つまり死だけが真実なのである

何らかの形で遺す事


偽りの希望を抱く両手

でも偽りの希望なんてだれが決めた?

僕はあなたの手を取る

それで十分なのであろう

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