ある少女2
少女はダンジョン探索いわゆる冒険を続けていた。あるとき気づいたのだ。自分の持つ短剣が特殊な能力を持っていることを。周りの冒険者にも薦められ、この短剣以外にもショートソードを買ったが、そのショートソードはそれほど強力ではなかった。自分の強さはこの短剣によってもたらせられたものであるあということを冒険のなかで何度も感じた。
この短剣は傷を癒す力がある。そう教えてくれたのは、鑑定士の人だった。鑑定士いわくこれはわずかに気力、体力、傷を癒す力がある。これは上級オーパーツに匹敵するとのことだった。どこで手に入れたと聞かれた。どこで手に入れたかといっても、路上でぼろきれを纏った赤毛の少年から買い取ったとしか言いようがなかった。今思えば名前を聞いていればまた仲間にも売ってもらえたかもしれない。
最近は少しずつ母親も病気がよくなってきている。依然として体調が悪そうにしてるが起き上がれる日も増えてきた。寝る前にこの短剣を母に預けているのが効いてきているのだろう。
「おい、ユーネ。ぼーとするなよ。ダンジョンの中で」
「そうよ。アルトの言う通りよ。ダンジョンの中で気を抜いたらだめよ」
最初に注意してくれた仲間が、黒髪のアルトそして、一言多いのが金髪のパーネだ。
アルトはハーフドワーフの戦士で、大きな盾を持ちショートソードを腰につけている。
パーネはハーフエルフの魔術師で、杖を持ち小さな盾を腰にぶら下げていた。
二人ともすごく善人で、冒険者にしては人格者だ。たぶん私が入ったギルドがよい人を集めてるのもあるのだろう。
皆事情があって、ダンジョンに潜っている。命を懸け戦っている。
私も来週には14歳になる。そろそろお金も尽きてきた。より深くダンジョンの奥に潜らねば、母を養えない。
*
今日の成果はゼロ。悲しいね。ダンジョンに潜れたらなあー。ダンジョンって結構厳重に管理されている。まずダンジョンに潜るにはダンジョンを管轄するギルドに入らないといけない。だけどその基準が平民以上の身分じゃないとだめとなっていて。俺の身分は貧民。貧民は税金を払わなくてもいいが、その分いろいろ職業制限がされている。つまりこの国は超階層社会だ。
自分はまだ身分を手に入れているのでましだが、上には上がいるように、下には下がいる。これ以下の身分のものはいないものとして扱われる。貧民の俺ですら仕事がないのに、下のやつらはどうやって生きてるんだろう。ちなみにこの国の外縁にはスラム街がちらほらとあるらしい。行ったことないのでどんな感じかは知らない。
「おい、バーツ」
声をかけられたので振り返ると見知った顔がいた。エンドモ。きのいいおっちゃんだ。
「何?仕事見つかったの?」
仕事が見つかればみんなで分け合うそれがこのコミュニティの掟だ。
「いや、お前。最近金槌なんかもってうろついてるから噂になってるぞ。あんまり変なことにくびをつっこむんじゃねえぞ」
「ああ、これね。まあ最近ぶっそうじゃん?だからだよ。皆にもそれとなく言っといてよ」
「それならいいんだが」
じゃあなといっておっちゃんは去っていった。ほんとにやばい噂が立ち始める前に忠告に来てくれたぽい。そら木製の金槌なんてなんで持ってるかわかんないもんな。
ちなみにこれには理由がある。俺の転生特典【聖剣鍛冶】は金槌をもっていないと発動しない。これはいろいろ検証して分かったことだ。
俺の特典は金槌をもって金属をたたくと始まる。そしてノンストップで聖剣をつくる。このときの聖剣はどんなものになるわからない。いわゆるガチャ要素ってやつだ。ちなみに初めての聖剣づくりのときは餓死しかけたので、ちゃんと水と食事をとってからじゃないとだめだ。さらにどんだけ時間がかかるかわからない。俺も自分が何時間金槌で鉄をたたいていたかわからない。
そこでこれはおそらくなのだが、今は木製の金槌でたたいているがこれを鉄製のものに変えていけばおそらくもっと早くできると思う。これは感だが。ただ、鉄製のものを持ち歩ているとおそらく違法に鍛冶をしてることがばれてしまう。だからこそ木製のものを持ち歩いている。持ち歩くのやめたらとおもったそこのお方?家ないんです。その辺にほっとくと盗まれちゃいます。
聖剣鍛冶師は知らない @boumeiyurei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。聖剣鍛冶師は知らないの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます