届かない声

　僕の世界は小さいのに、貴方に、貴方達にこの言葉が届かない。

　届けたいのに、届いて欲しいのに。枯れそうになるくらい大きな声で叫んでいる。

「　　　　！」

　どうして届かない？　僕の世界に貴方はいない？

　どれだけ叫んでも届かない。どうして……どうして……？

「　　　　　　　　！」

　ねぇ聞いてよ。僕の声を。僕の叫びを。僕の魂に触れてよ。

　どうして離れていくの？　聞こえないから？　なにを言ってるかわからないから？

　嫌だよ、聞いてよ、行かないでよ。僕の世界に触れてよ。

　独りは嫌だよ、貴方もでしょう？

　貴方の声も届かないけど、ちゃんと聞いてるよ。だから待ってよ！

　そんな時、通りすがりのオジサンが、ちょっとだけ気にかけてくれたのか、僕に声をかけた。

「　　　　　」

　優しく僕を撫でる手だけど、その声は僕には届かない。

「　　　　！」

　誰にも届かない声。それでも届けたいと思う声。

「　　　　　　　　　　　！」

　聞こえた？　聞こえなかったよね。この声が届く日は来るのかな？

　もし聞き取れる日が来たら教えてね。その時は……ちゃんと　　　　。