ダイバージェンス1%の壁を越え、彼はこの『地獄』から脱出できるか?
- ★★★ Excellent!!!
この圧倒的な絶望感。中盤から完全にホラーと化していく感覚が圧巻でした。
主人公の燐帆くんは、ある日に「失恋」を経験してしまう。手の早い栄口という同級生により、片思いをしていた茜ちゃんを取られることに。
しかし、彼の前に謎の少年が現れ、「つちになるなり けものといふいぬ」という呪文を唱えるといいと助言してくる。それによって「時間をやり直す」ことが可能になる。
タイムリープ。それはある種の「無敵」な能力のようにも思えます。
でも、その一方で制約も多い。よくわからない「世界の法則」みたいなものが立ちふさがり、なぜか何度やり直しても同じ結果に、場合によってはどんどん事態が悪化していくことも起こりうる。
どんなに時をやり直しても、所属する「世界線」を越えられなければ最終的な結果は同じになってしまう。
果たして燐帆少年は、この「ダイバージェンス1%の壁」を超え、幸せを手に入れることが出来るのか。それとも彼の身には更なる絶望が待ち受けているのか。
タイムリープも使い方を間違えればば、悪夢のごときループへと陥る。そんな出口のない時の牢獄。その中で「彼」が知りうる真実。
最終的に明かされる真相を見ると「なるほど、そういうことか」と膝を打ちたくなりました。
時間SF、時間ホラーとしての面白さが凝縮された非常に面白い一作です。是非とも、多くの方にお勧めしたいです。