ダークダン

第1話

「疲れた……」

 会社から帰宅したメイは、コンビニで買った弁当とサラダで晩御飯をさっと済ませ、シャワーを浴びてパックをし、いつものように就寝する時間までベッドでスマホをみていた。

「……寝るか」

 部屋の灯りを消して眠りにつく。

 メイが深い眠りについた時、暗い部屋に、ぼうっと、青白い炎が灯るように、ひとの顔が浮かび出た。

 身体のない、ひとの顔だけの亡霊ーー。

 それは、ひとつだけではなく、

 ふたつ、

 みっつ、

 よっつ、

 顔、

 顔、

 顔、

 と、次々と現れ、部屋中を埋め尽くした。

 夥しい数の顔が、寝静まったメイをじっとみる。

 このワンルームに引っ越してきてから毎夜、無数の顔に寝顔をみつめられていることをメイは知らない。

 寝ているからね……。



                〈了〉

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ダークダン @sinobikaku

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