目覚めてびっくり!~転生?変成?なってびっくりドラゴニュート!~

何時間たったのだろう、温かい布団の中でまどろんでいる様な感覚の中私は暗闇の中漂っていた。


『姫君、目覚めるがいい』


聞き覚えのある声。そうだ、あの石像が発する声だ。私は確かあの水晶の柱の中に放り込まれて・・・それから・・・。


(姫って・・・私の事・・・?)

『麗しの姫君、目覚めるのだ』


言われるままに起き上がろうとして自分の体が何かに包まれていることに気がつく。ぴったりと肌に吸い付くような感触はまるでガラスみたい。それでもそれほど硬くは無いようなので思い切って体を動かしてみるとひびが簡単に入り、やがてバリバリと音を立てて崩れていった。


「こ・・・ここは?」

『先ほどの場所だ。そなたはこれより我等の使者としてこの世界に降り立つのだ』

「使者・・・?」


ぼーっとする頭を振ってガラスの塊から飛び出すと私は自分の体に起こった変化に思わず絶叫した。鏡のような水晶の柱に映っていたのは紛れもない私。だけど私の手足や頬、それに背中に渡ってドラゴンのような鱗、それに翼と尻尾が生えていた。


「な、なにこれーっ!」

『驚いたか』

『無理もない。美しさに磨きがかかった』

『寿命と生命力も人間を凌駕した』


翼と尻尾がパタパタとゆれる。自分の意思どおりに動かせるようだがそれでも困る。たしかに爬虫類とかも好きだけど爬虫類になりたいワケじゃないし。

そんな私とは裏腹に石像たちの声はとても明るく、嬉しそうだ。どう言った訳かは解らないがこの体になると寿命や生命力が大幅に上昇するようだ。たしかにこの鱗も頑丈そうだし、口を開けると犬歯が牙に変わっており、門歯も鋭いものになっている。


「し、しかも・・・」

『ふふふ・・・』

「何で裸なのーっ?!!」


着ていた服がなくなっており素っ裸の状態になっていたのだ。


『失念していた、元の予定は蜥蜴だったからな』

『ふうむ、たしかに。しかし隠すのは勿体無いのでは?』

「今言った人嫌いになりそう・・・」

『うら若き乙女を裸で居させるのはけしからん!』


私が小声で呟いたのをすかさずキャッチしたのか何もない空間から麻かなにかでできた貫頭衣と帯が落ちてきた。


『余計な事を・・・』

『一人だけ点数稼ぎは関心せんな・・・』

『チッ・・・』

『あざと過ぎて笑いも起きない』


一斉にブーイングが入る。セクハラですよ。皆さん、わかってますか?私が睨むと皆は一斉にわざとらしく咳払いをする。


『ゴホン!それではこれよりそなたに試練を受けてもらおう』

「試練・・・?」

『これよりそなたにこの洞窟に散らばる武具を集めてもらう』

「武具・・・鎧とかってこと?」

『そのとおり、我等の力を宿した武具・・・地の鎧、風の槍、炎の大剣、雷の大槌、水の弓がそれぞれこの洞窟にはあって、そなたに与えた力はそれらを揃えて完璧な物となるのだ。それを探し持ち運ぶ為の魔法の袋と地図を渡そう』


そう言うと虚空にそれぞれの武具の映像と場所を記した地図が手渡される。そして異世界では定番のアイテム袋が。帯に留められるようになっているようだ。


「おおーこれが魔法の袋かぁ。それで、そのお宝を集めたらどうしたらいいの?」

『それらの武具を纏い、洞窟の外に出るが良い。そしてこの大陸に散らばる我等の神殿へと赴き宝玉を集めよ』

「宝玉?」

『左様、それらは我等の力の結晶。それらを天に帰し世界のエネルギーを循環させ安定させるのがメダルを得た者の務め』

「そうなんだ・・・でもそれって時間がかかりそうなんだけど、大丈夫?」

『問題ない、そなたが生きている間に遂げられればな。天寿を全うした暁には時間を遡り元の世界へと帰ることも叶おう』


ずいぶんと気長な話なんだ。私が百歳まで生きたとしてもまだ八十四年もあるんだけど。

まあ、来ちゃったものはしょうがないし異世界を巡るのも悪くないかも。とりあえず此処で一生を過ごしたら元の世界にも帰れるみたいだし一丁頑張りますか!


「わかった、何とか武具をそろえて洞窟を出てみる!」

『その意気だ、頼んだぞ姫君よ』


やる気になった私を見て石像のドラゴン達も嬉しそうにしている。期待されたからには頑張ろう。

地響きを立てて開いた扉を潜り私は洞窟探検へと出発した。

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