ニアミス

リラックス夢土

第1話 ニアミス

 私は羽田空港からある場所に向かうためにジェット機に搭乗していた。

 その日は天気もよく私は窓側の座席で外を見ていた。


 自分の飛行機が離陸して間もなく、あれは伊豆大島付近を通過していた時だ。

 窓の外を見ていた私の目にこちらに向かってくる一機の白い機体の飛行機が見えた。


 見た目は小型のジェット機で特に飛行機のボディにラインなどは入っていない白い機体。

 最初は羽田空港が近いのだから他に飛行機が見えてもおかしくないと思った。

 しかしその白い飛行機は私が乗る飛行機に向かって真っ直ぐに飛んでくる。



 このままでは空中衝突する!



 私は恐怖を感じた。

 するとその白い飛行機は私の乗るジェット機のすぐ近くで機体を捻って回避行動を行った。

 そしてそのまま私の乗ったジェット機の真上を通過するように飛んでいった。



 私は思わず「ニアミスだ!」と声に出して叫んだ。



 私には相手の飛行機の横についている窓がいくつか見えたし搭乗するための扉もハッキリと見えるぐらいに両機は接近していた。


 完全なニアミスだ。


 しかし次の瞬間、不思議なことが起こる。

 私が「ニアミスだ」と叫んだにも関わらず他の乗客は何も反応しない。


 確かにその時は飛行機は空いていてまばらにしか乗客は乗っていなかった。

 だが誰も私の声に反応をしたような人がいない。


 そして飛行機は今起きたニアミスのことなど何もなかったかのように真っ直ぐに飛び続けている。

 もちろん機長からはニアミスが起きたというアナウンスもない。


 そこで私はさらにおかしなことに気付く。

 私は飛行機の専門家ではないがあれだけ接触する間際までいったのに私の乗っている飛行機は何の回避行動もしなかった。



 なんだ?何が起こったんだ?



 そのまま私を乗せた飛行機は順調に飛行を続けて目的地に着いた。

 目的地に着いてもニアミスのことについてアナウンスもない。

 客も客室乗務員もいつもと変わらない様子。


 飛行機を降りた私はニアミスならニュースになるのではと考えてしばらくはいろんなニュースを探して見ていたがニアミスがあったというニュースは流れなかった。



 あれは何だったのか?

 けして夢などではないと断言できる。

 それにあれが幻覚だというなら私にとって今現在見えている物が全部幻覚だと思えるぐらいにハッキリクッキリとあの白い飛行機を見たのだ。



 そして未だにあの時に見た飛行機が何だったのか謎は解けていない。

 もしかして私はパラレルワールドの飛行機を見たのか。



 最近はそんなことも思うようになった。



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