バルベ伯爵家令息であり、第三期士団に所属する騎士レオはまさに貴公子である。親友の茶会で初めて会った彼に一目惚れしたと突然求婚され、辺境伯家令嬢にして次代領主のジネット・ベルジエは面食らいつつも心を貫かれてしまったのだが……始まりかけの恋物語の裏には怪しい動きも垣間見えて。彼女の恋はいったいどうなってしまうのか?
ジネットさんはご令嬢というだけでなく、魔獣討伐を任務とする辺境伯家の跡取りです。強い戦士であるだけでなく、領土を守る貴族でもあるわけですよ。舞台が学園ならば恋物語も普通に語れるわけですが、個人の恋愛を家に関わる案件として真っ向から取り上げ、しかも物語の芯として通してしまう構成力。相反する両者をもってドラマを鮮やかな緊迫感で引き締め、且つ鮮やかに彩る筆力。これにはもう唸るよりありませんでした。
さて、ジネットさんは同じ時を過ごす中でレオさんに惹かれていって、そのまま……とはならないのですよねぇ。一筋縄では行かない物語はどこへ向かうのか!? 顛末は本編でご確認くださいまし。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=髙橋剛)