第3話 世界の秘密は、いつだって手の届くところにあるんだよ。知ってた?
世界の秘密は、いつだって手の届くところにあるんだよ。知ってた?
あいが喫茶店にやってきたのは、それから少しの時間がたってからのことだった。
あいはえみとすいと同じ学園の水色のりぼんの白い制服を着ていて、白い靴下と学生靴をはいている。
美しいさらさらの黒髪を優しい風になびかせていて、なんだかとってもいい花の匂いがして、いつも自分に自信満々で、その顔は凛々しくて、吊り目の猫っぽい強い瞳をしていて、……、なんだけど、今日はなんだかあいはとっても眠たそうな目をしていた。
あいは大きなあくびをした。やっぱり、まだまだ、あいは半分くらい眠ったままのようだった。
「おはようございます。えみ。すい。約束の時間に遅れてしまってごめんなさい」
と言ってにっこりと笑ってあいはいつもの自分の椅子に優雅にスカートを揺らしながら座った。
「昨日の夜は遅くまでなにをしていたんですか? 教えてください。あい」
えみがわくわくしながら言う。
「あら? えみ、わかってたんだ。ふふ。だめ。秘密です。教えてあげません」
にやにやしながらあいは言った。
えみとあいはそんなことを言いながら自然と手と手を白くて丸いテーブルの上で指を絡ませるようにして、遊ぶようにしながら繋いでいた。
えみとあいは相変わらずとってもなかよしだった。(お部屋も同じ学生寮の古風なお屋敷の隣同士の部屋だった。羨ましい。私も同じお屋敷なら良かったのにな)
あいはすいのときと同じようにテーブルにやってきたメイド服姿の清楚で綺麗な店員さんにいつものメニューを注文をした。
蜂蜜たっぷりのホットケーキと季節のフルーツの盛り合わせ(今は林檎)とカフェラテ。(いつものあいの喫茶店での朝ごはんだった)
あいがやってきて、朝の時間にいつもの三人がいつもの喫茶店に集まって、いつものお茶会が始まった。
でも、今日のお茶会にはとても珍しいことに一人お客様がいた。そのお客様は(あいとは違って)約束の時間通りに、三人のいる喫茶店の席に、いつものように、にこにことした明るいお手本みたいな笑顔でやってきた。
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