死の踏切

ツヨシ

第1話

事故の多い踏切と言うものが、日本全国にあるが、うちの近所の踏切もそのうちの一つだ。

踏切と言ってもそれを横断する道は車が通れないほどに細く、人が時たま通るだけだ。

遮断機もない。

それなのに定期的に事故が起こるのだ。

それがすぐ近所にある。とはいってもその踏切は家の東側にあり、学校を始め生活圏のほとんどが家より西にある僕は、その踏切およびその周辺を通ることは、ほとんどなかった。

しかしある日、友達とたまたまその踏切の横を通った時のことだ。

その踏切を誰かが横断していた。

セーラー服を着た女子高校生だ。

何気なく見ていると、その女子高生は踏切の中ほど、ちょうど線路の真ん中ぐらいのところで止まった。

そしてそのまま動かない。

「おい、あの子、あそこでなにしてるんだ?」

僕が言っても友達からの返事はなかった。

見れば友達は、目を見開いてガタガタ震えながらその子を見ているのだ。

「おい、どうした」

そのうちに警報が鳴った。

もうすぐ電車が来るのだ。

しかし女子高生は動かない。

線路の真上で止まったままだ。

僕は女子高生に近づいた。

そして声をかける。

「おい、もう電車が来るぞ」

でも女子高生は全く動こうとしない。

しかしその顔には明確な恐怖の色がある。

体も小刻みに震えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る