第6話:金貸しの主人の殺し。
羽兆天はメロメロだった。
羽兆天と呂衣呂衣は行きがかり上、遊女の月鈴の部屋にやっかいになった。
「月鈴・・・月鈴〜」
「は〜い、女将さん」
「あ、月鈴・・・あんた変な小娘を咥え込んでるって他の子達が噂してる
けどそれ本当なのかい?」
「そうだけど・・・お店の前で男に絡まれてるところを助けてくれたからね
旅の疲れもあるだろうし、お礼に食事でもと思って」
「なかなか可愛い子って言うじゃないか・・・行くとこないなら上手く話つけて
いっそ遊女にしちまったらどうだい?」
「なに言ってるの・・・旅の娘さんだよ・・・借金抱えてる訳じゃないのに
そんな勝手な」
「無理言うなら私、お座敷には出ないから」
「私を脅すきかい?」
「お願いしてるだけ・・・」
「それにずっといるわけじゃないから・・・、あの子なにか目的があって旅して
るみたい」
「分かったよ、店に迷惑じゃなきゃいいよ」
まあ、別に遊郭を追い出されてもよかったんだけど・・・呂衣呂衣も
長居をするつもりはなかった。
腹が満たされたらそれでよかったから・・・でも羽兆天は月鈴に一目惚れ
してしまって遊郭を出て行くのを渋った。
「スケベ仙人・・・月鈴ちゃんに惚れちゃって・・・ホレマクリ国へ行かなきゃ
いけないんだらね・・・ほどほどにしてね」
「仙人だって男だよ・・・綺麗なネエちゃんには弱いんだよ」
昼間の紗蘭宮の遊女は案外ヒマをしているが夜になると遊女は忙しくなる。
遊郭だから遊女を求めて男の客がほとんどかと思ったら、案外女性の客も
けっこう来るらしい。
女性の客は大家の奥さんとか嫁入り前の娘さんとかが多いんだそうだ。
遊郭にやってくる理由は彼氏や旦那さんを喜ばせるための手管、いわゆるテクニックを身につけるためなんだそう・・・セックスの仕方を遊女さんに学びに来てるんだ。
それで女性の客が多い訳が分かった。
スケベな男の客と違ってよりよい夫婦生活のため・・・健気って言うか偉いね〜。
昼間、ヒマな月鈴が侍女の「
で、とある屋敷の前まで来た時、心心が言った。
「あのお姉さん、最近このお屋敷の金貸しの
って町中の噂になってますよ」
「死に方が変わってるからきっと殺されたんだろうって・・・」
「そう、奇妙な死に方?」
「なんでも、まるで蜘蛛にでも糸でぐるぐる巻きにされたみたいに天上から逆さ
吊りにされて頭が無くて体から血を抜かれたみたいに干からびてたんですって」
「まあ、手間のかかること・・・怖いわね」
「心心、金貸しの主人って、たしか
蜃気楼は月鈴がいる紗蘭宮のライバル遊郭。
「そうだって・・・羽兆天ちゃん・・・」
「金貸しの主人をやったのは、たぶん人間の仕業じゃないな」
「主人の殺され方で犯人が何者か俺にはだいたい想像はつくけどな」
「え?羽兆天ちゃん・・・犯人分かるの?」
「分かるさ・・・でも金貸しの主人は・・・まあ自業自得だろうな」
「あのな、人間の中には変わった好色人がいて妖怪や物の怪や幽霊の女をそばに
置いて悦にいってるようなモノ好きな金持ちもいるって話だ・・・」
「わ〜キモ〜」
「たぶん金貸しの主人もその口なんだろうよ」
「さっき月鈴が言った蜃気楼って遊郭の遊女、白小蓮ってのが下手人だろ」
「羽兆天ちゃん・・・こんなとこさっさと後にしようよ・・・関わるの
嫌だから・・・」
「まあ俺も
放っておいたらまた犠牲者が出るぞ・・・こういうのは続くんだ」
「それによ下手人が遊女ってことになったら月鈴ちゃんにだって容疑がかかる
かもしれねえしな」
「羽兆天ちゃん・・・月鈴ちゃん為に一肌脱ごうっての?」
「そう・・・脱ごうっての・・・」
「このまま放って旅に出たら寝覚めが悪いってもんだろ?」
「月鈴ちゃんには豪勢な飯も食わせてもらったし・・・」
「羽兆天ちゃんって案外、義理堅いんだね・・・それともスケベなだけ?」
「ふん、紗蘭宮を旅立つ前に心配の種を取り去ってってやろうと思っただけだよ」
「月鈴には黙ってろよ・・・誰も知らない間に片をつけるからな」
「夜になったら蜃気楼に出かける」
「私ね、実はホラーとかオカルトとか幽霊とか無理だから・・・」
「ホラーとかじゃなくて相手は妖怪・・・女郎蜘蛛だよ、呂衣呂衣」
つづく。
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