シチュエーションボイス台本置き場
edwinmullhouse
【ヤンデレ】目が覚めたら『自称』幼馴染の女子に拘束されていた
ねえ、きみ。朝だよ、起きて。
……あ、やっと起きた。
おはよ。よく寝てたんだね。どんな夢見てたの?
そろそろ起きて、私のことも見てほしいな。
どうしたの? そんなに目を丸くして。
あはは、おもしろい顔。写真にとっちゃおーっと。
まあ、そうだよね。朝起きたら布団のなかに女の子がいるのって、軽いドッキリだよね。
今の気持ちは、どう? びっくり? それとも……ドキドキしちゃう?
うん、うん……。
え? 「お前はだれだ」って?
わーびっくり。そんな答え、予想してなかったな。
ひどいよ、私の顔を忘れちゃうなんて~。もっとよく見て。ほら、この顔。
どこからどうみても、幼稚園からのきみの幼馴染でしょ。
……どうしてそんなに困っているの?
ねえ、よーく見てみてよ。
大きな目。長い睫毛。艶のある髪。ぷっくりした唇。
どう? 知っているでしょ?
私は、きみの幼馴染。
それ以外のなにものでもないの。
え、違う?
『本当の幼馴染』は、私じゃない? 別の子?
もー。どうしてそんなこと言うの? 悲しいなあ。
……はあ。
えっと、じゃあその……『本当の幼馴染』だっけ?
うん、そうだよね。きみと長年連れ添ってきたその……いままでの幼馴染の女の子は、たしかにいたよね。
でもね、今日からは違うの。
あんな気が利かなくてきみをたぶらかすようなクソ女はもういないの。
今日から、私が幼馴染なんだよ。
本当の、幼馴染になったんだよ。
きゃあ! 待って。動かないで。縄が食い込んじゃうから、痛いよ!
うん、そうそう。落ち着いて聞いてね。
大丈夫? ほら、肩のところ、痛そう。あとでお薬塗ってあげるからね。
あー赤くなっちゃってる……ん? どうしたの? 急にきょろきょろして。
あ、もしかして……いまさら気付いた?
そうだよ、ここはきみのおうちじゃなくて、私の家の地下室。
眠る前のこと、思い出せる?
そうだね。昨日の夜、公園できみは……きみの幼馴染を名乗る女といっしょに、ベンチでいちゃいちゃしてたんだよね。
悪いことだよ……あんなこと、しちゃだめだったのに。
後ろからこっそり見ていた私の気持ちにもなってほしかったのに……。
あの子をどうしたかって?
あはははは! 変なこと聞くんだね~。
どうでもいいじゃん、あんなアバズレ。
たいしてかわいくもないし、性格もキツイのに、家が隣同士っていうだけできみの幼馴染ポジションを独占しちゃってさ。挙句の果てに、なんとなーく付き合い始めちゃってさ……ほんと、腹が立つ。どうでもいいよ。たぶん今頃、朝のジョギングに来た人にでも見つかってるんじゃない? まあ、一応目立たないところに運んでおいたけどね。
……思い出したらイライラしてきた。
私のほうが、ぜったいにきみのこと好きなのに。
こんなに女の子らしくてかわいいのに。
ぜったいにきみのことを幸せにするのに。
それをあの女、私が横取りしようとしているとか、くだらない言いがかりを……ほんとに腹立つ。あと十発くらいスタンガン食らわせてやればよかった……クソ。
なーんてね!
もういない人のことはいいじゃん。これからのお話、しよ?
きみと私はね、夫婦になるんだよ。
これからは私がきみのお世話をしてあげる。ぜんぶ、ぜーんぶしてあげる。
ほら、こんなふうに、ぎゅ~ってしてもあげる。
なでなで。なでな~で。
キスも……たくさんしてあげるよ。ちゅっ。
あはは、嬉しいなあ。そんなに体を目いっぱい動かして喜ばなくていいんだよ。
だって夫婦だもん! 長年連れ添ってきた幼馴染が結ばれるなんて、ロマンチックだよね!
ねえ、あのこと覚えてる? 幼稚園の年中さんのとき、結婚式ごっこしたよね?
あのときのきみ、かわいかったなあ。
ほら、あれは? 小学校3年生の遠足! きみが道に咲いてたかわいいお花をくれたよね。
私に似ているって言って。王子様かと思ったよね~。
なんといっても忘れられないのは、中学生最後の運動会だよね。借り物競争の札にだれかのいたずらで「好きな人」って書いてあって、きみ、迷わずに応援席から私を連れて行ってくれたんだよね。そのあとのみんなのいじりは困っちゃったけど……嬉しかったなあ。
高校生になってからはさ……え? なに? 今、いいところなんだけど.……。
そんな記憶はない……?
ううん、ちがうよ。
あることになるんだよ。
記憶なんて曖昧なものはね、今はいらないの。私ときみで、長い長い隙間を埋めるの。
だって私、きみの幼馴染なんだもん。
ほら、これ……日記帳。たくさんあるでしょ。なかはまだまっしろ。
きみと私が出会った日から今日までのぶん、ぜんぶあるんだよ。
出会ってから今までの空白の時間を、きちんと『思い出そう』ね。
ちゃんと思い出せるよね?
だって、私たち、幼馴染……だもんね?
……思い出せなきゃ、食事あげないから。
大好きだよ。
ずっと、ずーっと、大好きだったよ。
きみも、そうだよね?
じゃあ、始めよっか。
私ときみは、生まれたときから隣同士だったよね……保育器も隣同士で……お母さんたち、私たちがよく見つめ合っていたっていうんだよ……やっぱり運命だったんだよね……。
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