罪悪と愛情
暦海
第1話 降宮蒔乃
「――そうだ、
「……はい、分かりました
ある平日の黄昏時。
そう言って、軽く手を振り去っていくのは恰幅の良い40代前半の男性。別に、仕事を頼まれること自体が不満なわけじゃないけど……いや、流石に今日までは無理でしょ。分かってます? 今の時間。あと30分くらいで退勤なんですけど。
とは言え、文句を言ったところで無意味なのは分かってるし、何より面倒なのでなるべく早く終わらせるべく取り掛かることに……はぁ、憂鬱。
さて、ここは
ともあれ、僕――古城
「――渡辺主任! 次回のプレゼンの資料を作成し終えたので、確認していただいても宜しいですか?」
「おお、
「えへへ、ありがとうございます渡辺主任!」
その後、ほどなくして。
そう、朗らかな笑顔で告げる可憐な少女。いや、もう
ともあれ、彼女は
「――お疲れさま、蒔乃ちゃん。いつも頑張ってて偉いね」
「はい、ありがとうございます吉川先輩。ですが、皆さんが優しく教えてくださるお陰です」
「……そ、そうかな、えへへ……」
すると、その後も男性を中心に多くの人達から賛辞を受ける降宮さん。そして、花のような笑顔で答える彼女に皆さん照れたような様子で……まあ、それも無理もなく。と言うのも――まあ、一言で言えばすごく綺麗だから。尤も、今のような優雅な所作や誰に対しても穏やかな態度など、魅力は容姿だけではないのだけども……ともあれ、一つ言えることは――
「ん、どうかしましたか古城先輩」
「あっ、いえ、何にも……」
すると、僕の視線に気付いたのか、柔らかな微笑でそう問い掛ける降宮さん。……しまった、ついじっと見つめて……ともあれ、一つ言えることは――まあ、言わずもがな、僕とは住む世界が違うということで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます