第4話光の使徒

紫の閃光に救われた僕は、ユウと共に暗雲を睨みつけた。

アキトは、なおも黒炎を纏い、狂ったように空を裂いている。


「このままじゃ……アキトは戻らない」

ユウが低く呟いた。


その時、暗雲の隙間からまばゆい光が差し込む。

光は柔らかく、温かく、まるで希望そのものだった。


「大丈夫、まだ間に合うよ」


声と共に、光の中から舞い降りた少女 、ミカ。


肩まで届く金色の髪が光を反射して輝き、透き通る白色の瞳は柔らかく周囲を見つめる。

白いワンピースには胸元に太陽の紋章が光り、細長い手足は軽やかで、立つだけで光が包み込むように広がった。


私はミカ。光の使徒」

微笑みながら手を差し伸べる。

その手からは、まるで傷ついた心を癒すように温かい光があふれ、雲を覆う暗闇を静かに押し返していった。


「君たちと一緒に――あの子を救いたい」


ミカは攻撃をせず、僕たちの背後で光を放ち続ける。

その光は僕たちの傷を癒し、闇に飲まれそうな心を守り、アキトへ向かう道を優しく照らしてくれる。


雷と炎、闇と光――

僕たちは新たな絆を胸に、アキトを取り戻すため、希望の光と共に動き出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る