第10話 開戦の合図

昨日、ホテルで考えた作戦を父に伝える。


タイムリミットは明後日の金曜放送まで。それまでに副町長を防災無線室に呼び込み、自白させる必要がある。


2人は、未来で得た情報を元に副町長を脅す“怪文書”作戦を決行。


未来は刑事として、国会議員の不正を記録したノートを頭の中で再現し、冤罪事件の内容も含めた文章を作成。


「これを副町長に送り、日時と場所を指定して掲示する。それを繰り返せば、防災無線室に辿り着く。たった1人でね」


父は深く頷く。


「いいだろう。だが危険は俺が引き受ける。お前は絶対に無茶するな」


未来は首を横に振る。


「これは私が撒いた種……それに、そんなゴツい刑事が相手だと、アイツはボロは出さない」


「それに、私は刑事よ? 逮捕術も備えているから安心して」


その直後、未来のお腹が鳴る。


「そういや、ホテルでも何も食べてなかった……」


グゥ〜ゥー〜グゥ〜ゥー


まるで開戦を告げるホラ貝の合図のようであった。

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