水平線の旅

マドノユキ

『少年』の夢

完成された世界、変わらぬ毎日。

16で少年は夢を見る。

地球のほかに人類が住める、外惑星発見のニュース。

「絶対そこに住むんだ」

4年間欠かさず新しい情報収集をつづけ、20の時、惑星移民団が結成されると聞き即応募する。

片道30年の旅。着いたときには50歳。

平均寿命は100年にだから、まだ50年ある。

応募者は24名。適正者は8名に絞られ『少年』も選ばれた。

応募者の少なさに『少年』は幸運を感じる。

そんなことより、新天地で新しい世界を切り開く旅に、冒険心は更に加速する。


30年が経ち、目的の惑星に到達。

しかしとても住めるような惑星ではなかった。

地球に似ていると言われていたが酸素はなくメタンガスが充満していた。

地質改良の設備も宇宙船には積まれていたが、想定をはるかに超えている。

諦めてクルーたちは地球に戻る。

再び30年掛けて地球に到達したクルー達。『少年』は80歳になっていた。


彼等の不遇に対し、残りの余生を快適に過ごせるように募金があつまり、『少年』は希望で海辺の家に済むことにした。

『少年』は毎日のようにベランダに椅子を置いて、ただ景色を見つめていた。

―完―

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水平線の旅 マドノユキ @yukizone

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