第5話 謎の転校生現る!
次の日
学校に行く準備をしていると湊から電話がかかってきた。
いつもならメールで送ってくるのにどうかしたのだろうか?
俺は不安になりながらも電話に出た。
「もしもし。湊、どうかしたの?」
「昨日、魔王のことについて話したじゃん。国家機密だから話しちゃダメだった…。」
湊は涙声で言ってきた。
国家機密は人に話してはいけないんだよ…。
「もしかして、俺消される?」
正直、大丈夫だと思っているが聞いてみた。
国家機密だけど、俺はまだ高校生だし許されるだろう…。
「いつもは魔王の力で記憶をいじるらしいんだけど、なんか雰囲気が物騒な感じだから…。」
最悪の場合、俺は消されると…。
「学校休もうかな…。国外逃亡の準備をしないといけないからね。」
きっと逃げても消されそうだし、人生をまとめた本でも書こうかな…。
「隼人が消されないように僕が守るから!だから学校に来てほしい!人が多いところの方が殺し屋系の人が隼人に手を出しにくいはずだし!」
湊の言う通りだ。
家には自分以外誰もいない。
親が帰ってくるのも夜遅くだからもし、俺が襲われていなくなっていても親はすぐには気づけない。
湊は俺のことを大切に思ってくれてるし、湊のために頑張って学校に行くか…。
「わかった。気をつけて学校に行くよ!」
と俺は言ってから電話を切り、学校に向かった。
周りを警戒しながら学校に向かったが、特に怪しい人や俺を尾行してくるような人はいなかった。
そのまま無事に学校に着くことができた。
校門の前で湊が待っていて、俺を見つけると一目散に走ってきて抱きしめられた。
「良かった!無事に来られたんだね!」
そう言って泣き始めたのでなだめるのが大変だった。
周りからは変な目で見られるし、ずっと抱きついてくるから湊の涙で制服が濡れた…。
ようやく湊が泣き止んだので教室に行ってから詳しい話を聞くことにした。
「まず、何で俺に魔王の話をしたってバレたの?」
「魔王の他の力について家族に聞いたら、何でそんなことを聞くんですか?って言われたから隼人と魔王について話したんだ!って言っちゃったから。」
「なるほどね…。まぁ、湊は正直者だからしょうがないね!」
「隼人は僕の心の支えだから、消されたら困るんだ!だから、隼人を傷つけようとするやつはぶっ飛ばす!」
湊は殺る気満々に腕をブンブンと振っていた。
湊も俺のことを大切に思ってくれているのか…。
俺だけだと思っていたからすごく嬉しい!
そんなことを思っていると、クラスメイトの一人が勢いよく教室に入って、
「転校生だ!転校生が来るらしいぞ!」
と騒ぎ始めた。
俺と湊はお互い顔を見合わせて焦った!
「こんな中途半端な時期に転校生が来るなんておかしいよ!絶対に隼人を消しに来た刺客に違いない!」
「終わった…。俺の青春が…。」
俺は今までの人生を振り返り始めた。
俺は真面目な両親に育てられた。
そのおかげか、遊びよりも勉強を第一とする親に似た真面目な少年になった。
俺は天才少年ともてはやされたよ。
しかし、中学2年生の時にクソ真面目だった俺の人生は変わった。
『邪竜少年山田くん』という作品によって。
この作品は俺が中学2年生になる頃に急激に流行り始めた。
それは社会現象になるほどに当時は人気だった。
俺は友達の話についていくために、渋々読むことにした。
そしたら見事にハマってしまった。
『邪竜少年山田くん』のあらすじは、普通のこの高校生だった山田くんがある日、邪竜の力を宿していることがわかったため世界を救うために、世界を敵にするみたいな感じだったはずだ。
この作品を見るとみんな中二病になってた。
それはもちろん俺も例外なく。
だが、俺は他の人よりも中二病が治るのが遅かったせいで、中二の時だけ赤点連発で進路関係が大変だった。
両親は俺が中二病になっても特に何も言わずに、俺が欲しがったダサい指輪や服を買ってくれた。
今思えば、この時から両親は俺に興味がなかったのだろうか?
でも、この高校に合格したときは泣くほど喜んでくれた。
そんな事を考えていたらいつの間にか藤野先生が来ていて、転校生の自己紹介も終わっていた。
仕方なく、湊に転校生のことを聞くことにした。
「転校生関係の話を全然聞いてなかったから教えてくれ!」
湊は何も答えずに、俺の手を掴んで転校生の席までずかずかと歩いていった。
そして、転校生に対して
「ちょつとついてきて。」
とドスの効いた声で言って屋上に向かった。
こんな湊を初めて見る。
少し怖い…。
俺たちと転校生が屋上に着くと、湊は俺の方を向いて優しい声で言った。
「念の為に隼人は僕の後ろで隠れててね。」
俺は頷き、湊の後ろに隠れた。
転校生の姿を初めてしっかりと見る。
威圧感のある身長、深く濃い黒髪、全てを見透かすように冷たく感情の揺らぎを一切感じさせない眼差し、見る人の視線を絡み取るような整った顔。
簡単に言うと、高身長でイケメンだった。
彼はなぜか俺を睨んでいた。
「どうして転校生になってるの!」
湊は転校生に向かって言った。
「湊様が何とかしてほしいって言ったから、何とかしたんじゃないですか。」
彼は無表情のまま淡々と言った。
今ここで話を遮らないと、他に聞くタイミングがなさそうだ…。
「お話の途中に失礼!湊、転校生と知り合いなの?」
「うん。隼人は転校生の自己紹介を聞いてなかったんだっけ?こいつの名前は
執事?金持ちだったのか…。
「それで話を戻すけど、隼人が消されないように何とかしてって言ったやつ?」
「それですよ。東雲隼人が消されないように、私が直接監視することになりました。」
「それはありがとう。でも普通は国家機密の記憶だけ消すんじゃなかったっけ?」
「上の指示で消すように言われまして。私もそうした方がいいと思っているのですが…。」
闇夜くんの言葉を聞くと、湊は低い声で言った。
「そう思うなら別に帳じゃなくてもよくない?隼人に対して友好的に思ってる人に監視して欲しいんだけど。」
闇夜くんはわざとらしく悲しそうな顔をして言った。
「残念ながら私が指名されていまして。どうしても変えて欲しいのでしたら、旦那様にお願いしてみたらいかがでしょうか?」
「家に帰ったらそうするよ。それにしても、隼人を監視するって何のためにするの?」
「また湊様が国家機密を話した場合に、その詳しい情報を記録して記憶を消しやすくするためですよ。詳しい情報がないと、その日全ての記憶を消さないといけなくなりますから。」
「昨日の隼人の記憶を消しても、僕がまた魔王のことを話しそうだから、最後にまとめて消すってことね。」
「そうです。私はそれがめんどくさいので原因である東雲隼人を消した方が早いと思っています。」
湊は大きなため息をついてから俺の方に向き直った。
「隼人のことは絶対に守るから毎日学校に来てね!帳のことは何とかするから!」
湊が背を向いていることをいいことに、闇夜くんが俺に中指を立てている。
「殺意マシマシで草。」
こんなに殺意マシマシな人を初めてみたから、なんか面白くて口に出してしまった。
「ん?隼人どうしたの?」
「いや…。何でもないよ。」
ここで湊に中指のことを告げ口をすれば、湊は絶対に闇夜くんを怒る。
そこから闇夜くんの怒りは俺の方に向き、俺は消されると…。
この可能性が少しでもあるなら黙っておこう…。
「じゃあ、時間もあるし教室に戻ろうか。」
俺たちは1時間目が始まる前に教室に戻った。
闇夜くんはすぐに周りと馴染めているみたいだ。
というか、俺と湊以外のクラスメイトと仲良くなっていないか…。
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