婚約破棄された令嬢、実は古代魔法の継承者でした ~私を捨てた王子と取り巻きが土下座してくる未来しか見えません~
@yuri1542
婚約破棄、イベント発動
私の人生は、最初から不具合まみれの初期ロムだった。
生まれ落ちた瞬間から「完璧なお嬢様」というデフォルト設定を押しつけられ、感情パラメータはゼロに固定。
選べる行動コマンドは「微笑む」「黙る」「お辞儀する」の三種類のみ。
戦闘コマンドどころか、雑談コマンドすら実装されていない縛りプレイ。
――はい、詰んでますよね?
それでも周囲は「リリアーナ様は気品に満ちているわ」なんて褒めそやす。
違うのよ。気品じゃない、ただのバグ。
そんなNPCライフの最大のバグは、王子との婚約だった。
母は「未来の王妃なのよ」と目を輝かせたけれど、要するに「王子の横に立って映えるアクセサリー」ってだけの話。
案の定、王子は裏で伯爵令嬢といちゃついていたし。
あのね、私まだ人形やってるんだから、せめて表面上は誠実ルートを貫いてほしいわよ。
――そしてやってきた、運命の公開イベント。
舞踏会場の真ん中、きらびやかなシャンデリアの下で、王子がわざわざドヤ顔で宣言した。
「公爵令嬢リリアーナとの婚約を破棄する! 彼女には愛がない!」
はい、強制フラグ回収。
会場中の視線が一斉に私に刺さる。
令嬢仲間は「まあ……!」って口を覆い、取り巻きはニヤニヤ。
でもね、私は内心こう思っていた。
(あ、これでやっとゲーム終了か。いや違う、新モード解禁よ)
涙? 悲鳴? 出るわけない。
むしろ笑いそうになった。だって――
これでようやく、お人形モードが終了するんだから。
私の血には、王家ですら知らない古代魔法のスキルツリーが眠っている。
ずっとロックされていたその力が、「婚約破棄」という条件達成で解放される仕様だったのだ。
「ふふ……覚悟なさい。次のターンから、私がプレイヤーよ」
王子の勝ち誇った顔を眺めながら、私は心の中でそう呟いた。
――SE:無双モード起動音。
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