邂逅
我が家に着く。手慣れた動作で上着から腕を抜き、ハンガーに掛ける。一息つく間もなく、父は夕食の準備を開始した。
「火を起こすから、薪取ってきてくれるか?」
「分かった。」
そう言われ、ドアを開けて家のすぐ近くにある薪の収納庫に行く。
1本、2本と薪を脇に抱える。
十分な量と思い、家に戻ろうと、薪を抱え直したところで、地面に落ちているポスターに視線が移る。角が擦り切れ、ひどく黄ばんでいる。
薪を離し、ポスターを拾い上げ、雪と土を手で払う。
すると掠れた大文字が目に飛び込んでくる。
_____「新型自動小銃『GCA』試験的導入」___
「.....またこれか」
そこには導入されるであろう新型の銃を構える人の写真が貼られていた。なにがし根拠は無い。しかし、どこか異質な形相を持った絵に悪寒が走る。
その日は変に寒気がした。夜の冷え込みか、先ほどのポスターのせいなのか。
布団に包まれば肌寒さは緩和したものの、あのポスターが頭から離れずにいた。
あの兵器は何なのだろうか。
あの絵には銃の形をした別の“何か”を感じていた。
深く考える意味はない。どうせ大した関心事ではないだろう。そう自分に言い聞かせ、眠りに着く。
........... これが ............... 最後の ........
誰だ。これは何だ。
........... これが .............. 最後の .........
これはどうなってるんだ。朧げに姿が見える謎の影にそう語りかけ続ける。
........... お前が .............. 選択しろ。 .........
「....ハッッ!」
布団から飛び起きる。呼吸が乱れ、体は身震いしていた。
そしてその異変にもすぐさま気がつく。
あのポスターを見た時の悪寒とは違う、“本能的危機”を感じる。
「ブロロロロッッッ」
重量車独特のエンジン音が窓の外から聞こえてくる。地鳴りのような重低音が辺りを満たす中、扉が物凄い勢いで開く。
「クラウス!!逃げるぞ!!」
間髪入れず父の声が聞こえた。
寝起きや急な出来事のせいで錯乱していたが、父の言葉を信じ、無心で布団を蹴り退け、裸足で家を飛び出る。
そして外の景色を見渡す。
その目に映った景色を俺は生涯忘れないだろう。
銃口 @youdai0428
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