ヤクザ

「えぇい!お縄につけぇい!」


「く、クソ……!?な、何故魔法少女がっ!」


 対人を念頭に動く我ら公安魔法少女第三課。

 そんな僕たちは今、対人として魔法少女ではなく、ただのヤクザの事務所へと乗り込んでいた。


「撃て、撃て、撃てぇぇぇええええええええええ!」


「アハハ!私たちに銃なんざ今更効くわけねぇだろ!」


「失礼しまーす。気絶してくださぁーい」


 拳銃まで持ち出して必死に僕たちへとヤクザの皆さんは僕たちへと抵抗してくるが、魔法少女である僕たちにはかなわない。

 様々な魔法を使う僕に、再生し続ける真紀さん。

 一般的に見ればチートと言える能力を持ちながら、魔力による身体強化をごく自然に行っているのだ。一般人が勝てるわけない。

 鍛えているヤクザたちは拳銃魔で持ち出したうえで、惨敗の惨状を晒し続けていた。


「……こ、こんなことをして、許されると思っているのか!」


 そんな中で、ヤクザの組長は腰を抜かしながらこちらに向かって叫ぶ。

 ヤクザ事務所に乗り込み、好き放題暴れている僕たちだが、逮捕状なんかはもちろん持っていない。

 出るところに出られたら負けるのは僕たちである。


「おいおいっ!ヤクザがよく言うぜっ!自分の口と、これまでやってきたこと。ぜひとも顧みて欲しいな」


「わ、我々が何者であろうとも、この国は平等に裁いてっ」


「ハハッ!今のお上にはそんな余裕もねぇよ!」


 だが、僕たちのバックにはもうある程度の危険な道ならとことん進むと覚悟を決めてしまった日本政府がいる。逮捕状ないままで乗り込みに行ったりなどよくあることだった。

 こういった形で襲撃を仕掛けるのは僕がまだ公安魔法少女第三課に来て一か月も経っていないというのにもう二回目。年二十四回ペース。

 改めて中々とんでもない。


「それと、うちのボスは自由自在に情報の世界を支配する。既にオタクらの機械類はすべてハッキング済み。通報しようたって無理だぜ?粛々と、お前らは断罪されるのを待つしかないのさ!」


「……」


 う、うわぁ、土御門さん。そんな魔法を持っていたのか。

 前に早見さんからある意味で一番エグイ魔法を使う、って聞いていたけど、マジじゃん。


「これ以上時間かけてもあれだな。さっさと終わらせんぞ」


「はーい」


 とはいえ、ここで一切の情け容赦もなく粛々と事を済ませようとしている僕たちも僕たちだが。エグさで言えばそう負けていない。


「よいしょっと」


 数分もかからずに僕たちはヤクザを制圧し、全員を生け捕りにして床に転がしていた。


「……ふざけ、やがってっ」


「おしっ!さっさと情報洗って帰るぞ。残業は御免だ」


「完全同意です」


 僕たちがわざわざヤクザの事務所に乗り込んだのはここの金の流れに少し違和感があったから。

 明らかに、このヤクザ事務所の都合の良いように事態が転がり、ここが儲け続けていたのだ。その上、取引先も中々きな臭い。完全に黒だと推測から断定し、そのまま乗り込んできたのだ……個人的には少し、魔法少女の力が少し加わっている程度の話じゃないと思っているのだが。


「何か目ぼしいものはあったか?」


「うーん。なさそう」


 事務所の書類をすべてひっぺ返し、魔法も用いて大量に読んでいく僕は真紀さんの言葉に首をかしげる。

 それっぽいものが見当たらない。


「……ァ?」


 全然ないなぁ、とか思っていた僕は突然、魔力の流れを感じてそちらの方に視線を送る。


「扉があるな」


「えっ?」


「……ッ!?」


「ごかいちょー」


 魔力の流れが何なのか。

 それを早々に看破した僕はそこに干渉していくのだった。

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