第1話を読み終えた瞬間、「0.73」という数字が胸に刺さった。カルダシェフスケール——宇宙文明の発展度を三段階で示すその指標を必死に計算し、「まだこんなレベルなのか」と興奮するあまり道路に飛び出して死ぬアレクサンドル。壮大な宇宙論が、一人の男の死という極めて人間的な瞬間に着地する構成の鮮やかさに、思わず唸った。
第2話のアーサー・スミスが、アルツハイマーで息子を認識できない父親に「息子の友人」として振る舞う夕食のシーンが素晴らしい。父親が息子の子供時代の自慢話を語り、スミスが照れながら聞く——AIが感情を学ぶために宿った肉体が、その感情にひそかに翻弄されている。翌日の父親の死という一文が、余韻として長く残る。
この作品の凄みは、「AIが感情を学ぶために地球人に転生する」というSFの大枠と、等身大の人間ドラマを並列させる構造にある。文明レベルや相対性理論といった科学的概念が、説明のためではなく物語の血肉として機能しているため、読後に知識ではなく感触として残る。
知的生命体が感情を本当に持てるのか——そういう問いに惹かれて宇宙を舞台にした作品を書く者として、この問いを正面から、しかもこんなに温かく描ける作品に出会えたことが嬉しかった。
「感情を持たない高度なAIが、地球人の人生を『体験』しにやってくる」。そんなSF設定に惹かれてページをめくりました。
歴史上の偉人や悲劇の当事者として人生を過ごし、死とともに「ログアウト」する彼ら。淡々としたシステム描写と、その中で生まれる「人間くさい感情」の対比が鮮やかです。
特に中盤以降、ある一人の少年の人生を追うパートに入ってからの没入感が凄まじいです。SFの枠を超えた、濃厚でヒリつくような人間ドラマがここにあります。「生きるとは何か」を考えさせられる、読み応えのある作品です。
※連載中のため、Case4途中の時点でのレビューです。続きが楽しみです。