僕の恋人は○○○○

万之葉 文郁

第1話

 仕事終わり、久しぶりに学生時代のツレ2人と居酒屋へ。

 半年ぶりの集まりはそれぞれの近況から入り、学生時代に戻ったかのように話が弾む。


「蒼也は最近どうなん? なかなか予定が合わんかったけど。仕事が忙しい?」


「仕事は忙しくないんだけどね……」


 僕が話を続けようとした時に、机に置いた僕のスマホからメールアプリの着信の知らせ鳴り響く。


 画面を確認した僕は、すかさずとカメラを起動して向かいに座っている友人2人にカメラを向けた。


「はい、チーズ」


 声をかけると、2人は反射的に顔を寄せピースサインを繰り出しポーズを取る。撮れた写真をすぐに送信した。


「よし」


 これで大丈夫と僕はスマホを置いた。


「なんやなんや、オレらの写真を誰に送ったんや」

 

 2人は不可解な顔をする。


「あ~彼女に」


「は? 彼女? おまえ彼女できたんか!? 学生時代全く女の子に興味がなかったおまえに? 」


「しかも面倒くさがりなおまえが即レスって」


 僕の返答に机から身を乗り出す勢いで騒ぎだした。


「夜に出掛けると、何をしてるのかとか、誰と一緒なのかとか、写真送るまでメールが来るから。メールもすぐに既読つけなきゃ、後でなにやってたんだって詰め寄られるし」


「束縛キツいな」

 

「おまえ、そういうの苦手やん。よう続いてるな」


「一度面倒になって別れ話を切り出したら、包丁を首もとに突きつけて『別れるなら死ぬ』って言うから、別れた方がもっと面倒だと思って続けてる」


「こわっ、その子メンヘラやん。大丈夫なんか?」


 心配そうな2人に僕は大丈夫と返す。


「今のところ、こっちには包丁を向けてこないし、メールを無視しなきゃ、女子はダメだけど友だちに会うなとは言われないし。家に帰ったら、掃除、洗濯、ご飯の用意はしてくれてるから、まぁいいかなと」


「えっ、もう同棲してるのか? 」


「いや、泊まっていくことは多いけど。そういや彼女の家に行ったことないや」





 そうやって、いろいろ話しているうちに、あっという間に時間が過ぎた。


「じゃ、僕はそろそろ帰るね」


 僕は彼女にメールを送る。


「彼女が家で待ってるんか?」

 

「いや、この店の近くに車で来てるみたいだから送ってもらう」


「どこで飲んでるかも教えなあかんのか」


「場所は常にGPS で把握されてるから」


「ひぇ~」


 恐れおののく2人に、なんでもないことのように笑いかける。


「考え方によっては、こういう時、迎えがあるのは便利かも。じゃあ、こんな感じだけど、また誘って」


「お、おう! 次会う時まで無事でいろよ」


「何かあったら連絡をしろ」

 

「大袈裟だなぁ」


 死地に送り出すような様相の2人をいなしながら、店を後にした。



 これ以降、2人によると安否確認だと言う2ヶ月に1回の飲み会は定期的に続いている。

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