国営地下鉄0番線
夏怨ない
次は…
地下鉄マニアの間で、ひそかに囁かれる噂がある。
国営地下鉄には、幻の「0番線」が存在する。
気づかないうちに、0番線に操られてしまう。
そして、0番線の車輌に乗った者は、二度と帰ってこない――。
ある日、掲示板サイトを眺めていると、
一つの投稿が目に留まった。
«0番線の駅を見つけた、場所は███»
いかにも怪しく、嘘くさい投稿だった。
それでも、なぜか心のどこかで惹きつけられ、俺はその場所へ向かう決意をした。
車を走らせ、投稿に書かれた場所に辿り着く。
そこには、言われなければ気づかないような、ひっそりとした駅の入口があった。
入口をくぐり、階段を降りる。
どこか古びた、不気味な空気が漂っていた。
改札は機能していないようだ。
そのまま通り抜け、駅のホームに辿り着いた。
埃が厚く積もり、長い間手入れされていないのが一目でわかった。
本来存在しないはずの駅。
その存在に、俺の心は高揚していた。
噂が本当だったのだ。
写真を撮ったりしていると、突然、スピーカーからアナウンスが流れた。
《まもなく電車が参ります。黄色い線の内側までお下がりください。》
心臓が破裂しそうなほど脈打った。
噂では、0番線の電車に乗れば帰ってこられない。
そう聞いていた。
逃げ出そうかと一瞬思ったが、その場に立ち尽くした。
心の奥底で、
(この噂を、最後まで確かめたい)
そんな衝動が湧き上がっていたからだ。
やがて、かなり古い型の車輌がホームに滑り込んできた。
軋むような音とともに、扉が開く。
俺はそのまま、吸い込まれるように車輌に乗り込んだ。
直後、扉が閉まり、電車は噂でしか語られない幻の路線を走り出した。
取り憑かれたように、
俺は掲示板サイトに、ある言葉を投稿した。
---
いつも通り、掲示板サイトを眺めていた。
ふと、ある投稿が目に留まる。
«0番線を見つけた、場所███»
国営地下鉄0番線 夏怨ない @natuuranai
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