冴えない僕と君は今日も努力する
@sink2525
第1話 変わる時期
鏡を見た時自分のことが嫌いになる。整っていない顔、整っていない体。
好き好んでこんな顔になったわけじゃない。好きなように生きてこんな体になったわけじゃない。
自分が選んでこうなったわけじゃないのに、どうしてこうも醜いと思いながら生活をしているのだろう。
楊凛高校。一年一組――金城優はトイレに居た。放課後の学校。
何もすることがなかった優はトイレしをて帰ろうと考えていた。ただ、ふとした瞬間自分の姿が鏡に映った。高校生らしい顔は優にとってコンプレックにもなっていたのだ。多少の筋肉や脂肪も優にとっては邪魔でしかないのである。
鏡に手を置き、深いため息を漏らす。何をやっているんだか。冷静になり、普通に考えてみる。
こんな一人芝居してる時間が勿体無い。結論だけ考えてみれば自分を好きになればいいじゃないか。
痩せて、イケメンになってみればいいじゃないか。
そうだよ。変わればいいんだよ。嫌いな自分から好きな自分に変わってみればいいんだよ!
今度こそ、今度こそ変わってみよう。
何度目かの変わる宣言をし、優はトイレを出た。
教室に着いた時、既にクラスメイトは全員帰宅していた。それもそうだ、下校時刻はとうに過ぎているのだ。では、何故俺が帰っていないのか? それは――――
「ちょっといいかしら――」
聞き馴染みのある声が俺の耳を叩く。ふんわりと優しく包み込んでくれそうな声。
声のする方に視線を向ける。
「私……今日から痩せる! 絶対に!」
優と瓜二つな考え方をしながらそう言う彼女は、優と同じように自分に自信がないのか、視線をきょどりとする。
「凛! 俺もだ! 変わろうと思う」
2人の声は教室に響いた。特技も誇れることもない2人。自分のこと私のことが嫌いな2人。
それぞれ2人は違う理由を持ち新たな一歩を踏み出そうとしている。
どれだけの困難があってどれだけの過ちがあるか分からない。だけども2人の瞳は希望と光に満ちていた。
これは、最下層から始まる新しい恋愛の物語である。
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