第36話 学園対抗戦2 戦闘

眩しい光が消えて、目を開けると……

「マジか……」

「おーー!!」

森が広がっていた。どこを見ても木ばっかり。

「ここで戦うのか?俺ら」

「そうみたいだねー…こりゃ死角が多いや」

木や草が生い茂っているため、全体が見えずらい。奇襲を仕掛けられる可能性が高い。

「とりあえず、進むか」

「だな」

メンバーは揃っていたため、進むことにした。

「あ、そうだ、龍牙…あれやっといてくれ」

「おー、了解」

龍牙が俺たちより少し先に向かうと…

『サーチ・ペルセプション』

龍牙の体が淡い青色を放ち、地面に張り巡らされた。

「な、何だ?これ」

男子が驚いていた。

「これは気配感知をする技だよ、数十メートル先まで何かの気配を感じることができるんだよー、龍牙が結構得意だからさ?探知系」

「なるほど…」

「奇襲でもされたら困るしねー」

「だなだな!」

そんなことを言っていたら、龍牙が帰ってきた。

「これで大丈夫だと思う!」

「オッケー!じゃあ、今度こそ行きますかー」

「「「「おーーー!!!」」」」


ドドドド……ドガッ…キンキンキンキン……ザッ…ドドドドッ!!

しばらく歩いた先で敵チーム同士の戦闘が見えた。

「はぁぁぁぁあああああ!!!」

「くたばれ!!!」

ギュィィィィィィィイイイイイイインンンン!!!

剣と剣がぶつかり擦れ合う音が響いてきた。

「ドンぱちやってんなー!!」

「よし、2つまとめて倒すぞ!」

「「「「了解!!」」」」


「来い!陽炎!!」

「おいで!宵闇!!」

「荒れろ!烈電槍!!」


「行くぞ!龍牙!」

「おう!!」

ドガッガガガガ…

「こんのー!!くたばれよ!!」

「そっちこそ!!」

言い合いしながら剣を交えている2人に向かって……

「終われ」

「「あっ……」」

ザンッ!!

「「ぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!」」

2人が一瞬で退場した。

「いや、瞬殺!」

「いや、お前も2人消してるじゃねーか」

「あれ?」

敵チームの4人を倒した俺たちは、武器を構えて周りを見た。

突然の出来事に相手は狼狽えていた。奇襲されるとは思わなかったのだろう。

「ふぅ……来るぞ!あれが!」

「了解!!」

俺たちはタイミングよくしゃがんだ。すると……


「月影閃光(つきかげせんこう)!!!」


「ぐぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」

敵チーム目掛けて紫色のビームが放たれ、敵チームを一掃した。

「しゃ、しゃがんでなかったら当たってたな……」

「だな…」

周りを見渡しながらそう言った。

「これで良い?」

日向がこっちにきた。

「ああ…多分な」

「てか、ここで消えた奴らってどこ行くんだ?」

すると、メンバーの1人が答えてくれた。

「ゲートの外にある待機場所に飛ばされるみたい。死んだわけじゃないから大丈夫だよ」

「そうなのかー!なら、思う存分、戦えるな!」

「いやいや、目立ったらダメだろ」

「あははは!そうだったわ!」

「3人とも凄いな……俺たち全く動けなかったよ」

男子がそう言ってきた。

「うーん、まあ、戦闘には慣れてるからな」

「よし!お話はここまでにして、探しに行くよ?他の敵を」

「了解」

俺たちはまた、歩き出した。


「あっ……」

「おおー!」

「……お前らかい」

「びっくりしたじゃねーか!!」

俺たちと会ったのは、魁斗達だった。蓮斗もいるようだ。

「そっちはどうだ?守備は」

「まあ、何とか生き残ってるよ、零達は?」

「俺たちも残ってる……ただ、他のチームを助けることが出来なかったわ」

「こっちもだ、間に合わなくてやられた奴らもいる」

「やっぱり、一筋縄ではいかないよなー」

「そうだな…」

その時だった……

ヒュン!!

「「!!!」」

何かが俺たちの足元に飛んできた。見ると……

「球?」

「これはっ……!!」

プシュー!!

「うわっ!!」

「何っ!!」

球から煙が現れ、周りが煙に包まれた。

「煙幕だ!!」

「近くに敵がいるのか?」

みんなが慌て始めた。

「龍牙!!」

「はいよー!『サーチ・ペルセプション』」

龍牙が気配を探した。

「蓮斗!あれを!!」

「了解!」

蓮斗が手を上に掲げると、


『螺旋暴風拳!!』


蓮斗の手から竜巻が巻き起こり、煙を巻き上げた。

一瞬で視界がクリアになり、敵が見えやすくなった。

「どこからだ?!」

その瞬間だった。

「ぐぁぁぁぁあああああ!!!」

「なっ……!!」

男子の1人がやられたのだ。

「何?!何なの?!」

みんながパニックを起こしそうになった。

(マズイ!!このままだと、やられる!)

俺はすぐに周りを見渡した。凄いスピードで走っている奴を見つけた。

「お前か!!」

俺は能力を使用した。


『雷駆!!!』


電気を足に纏わせ、奴を追いかけた。

「れいちゃん!!」

龍牙が俺を呼んできたが、俺は奴を追った。

そして…

ガシッ!!

「つーーかーーまーーえーーたーー!!」

「ギャッ!!」

追っていた奴の腕を掴むと、そのまま引き寄せて、

ゴッ……!!

みぞおちに拳をぶつけた。

「ぐはっ!!」

そいつはそのまま気を失って倒れた。

「よし!これなら……!!!」

振り返ってみんなのところに戻ろうとした。

だが…

「キャァァァァァ!!!」

「ぐはっ…!!」

男子と女子の2人がまた、やられた。

「これは……やばい!!」

俺はめっちゃ焦った。すると…

「終わりだ」

後ろから声がした。


ガッ……!!!

「何?!」

敵の武器を俺は陽炎で防いだ。攻撃を防いだことに襲ってきた奴は驚いているようだった。

「後ろを見ていなかったのに……何故?!」

「ふっふっふっ……『見えてる』からねー」

キンキン……ガッガッ!!ドゴッ……!!

剣と剣がぶつかり合った。

「くっ……!!」

苦しそうな表情をしながら俺の剣を捌いていた。

「お前の相手をしている暇はないんでな!!」


「炎龍斬破!!!」


「ぐはっ…!!!」

男子の体を真っ二つに切った。男子は消え去った。

「ふぅ……日向達は……」

みんなの方へ戻った。


◾️日向 視点

「れい兄がどっか行ったー!!」

「マズイな!!クッソ!」

ガギッギギギギギ……

敵チームやり合っていたが、思った以上に強かった。倒すのに時間がかかりそうだった。

「仕方ない!ここは一掃するしか…って、魁斗さん?!」

突然、魁斗さんが大剣を構えた。その姿で何をするのか分かった。

「蓮斗さん!!龍牙さん!!2人ともしゃがんで!!」

「お、おう!」

「う、うん!!」

2人がすぐにしゃがんだ。私もしゃがむと、その瞬間……


「海流一閃(かいりゅういっせん)!!!」


ドドドドドドドド……ザシュ!!

蒼海剣を横にして、1回転回った。その勢いで、蒼海剣が発する水が水流になって、周りにいた敵を薙ぎ倒した。

「ぐはっ…!!」

「うわぁぁぁああああ!!!」

「ごふっ……!」

次々と敵が吹き飛ばされて、消された。

「ふぅ…ふぅ…コソコソと動くんじゃねーよ!!鬱陶しい!!」

魁斗さんが荒く息をしながら、そう言った。

「蓮斗さん、龍牙さん……魁斗さん怒ってます?」

「あー……うん、ブチギレてるな」

「あはははは……やばいねー」

私たちは3人とも何も言うことが出来なかった。

そこへ……

「みんなー!無事かー?」

「れい兄!」

れい兄が走ってきていた。


◾️零 視点

「あ!終わった?れい兄!」

「おう…お前らは?」

「うん!終わったよー、魁斗さんが大暴れして」

「え?魁斗が?」

魁斗の方を見ると、すごく嫌そうな顔をしていた。

「あー、キレたのか魁斗は」

「うん、ボッコボコにしてた。」

息を荒げて1人立ち尽くす魁斗を見た。

「大丈夫か?魁斗」

「はぁ…はぁ…大丈夫…か?だって?…零」

バシッ!!

「いって!!」

こっちを見た魁斗は、突然、俺の頭を叩いてきた。

「何するんだよ!!」

「うっせ!お前、勝手に1人でどっかに行くな!!お前が抜けたせいで死角が出来ただろうが!!」

「……あっ」

「お前…マジでふざけんなよ!」

魁斗がめっちゃ怒っていた。原因は俺の勝手な行動だったようだ。

「わ、わりー……焦って周りが見えてなかった。」

「はぁ…全く…」

深いため息を吐きながら、魁斗は日向達のところに戻って行った。


「どうにかなったか?」

「……まあ、俺らは生きてるけれど…」

俺たちのチームと魁斗達のチームのメンバーが消えてしまった。今、残っているのは、俺、日向、龍牙、魁斗、蓮斗、そして、魁斗のチームの男女の計7人となっている。元々が、10人だったため、3人が消えてしまっている。

「まあ、全員を守るのは難しいからな…自分の身は自分で守らねぇと」

「そうだが…俺たちがもっと慎重になっていれば、守れたかもしれない…」

「そうだね……まあ、もう起こったことだし、仕方ないよ…」

みんなの雰囲気が悪くなってきていた。

すると…

「あのさ…」

残っていた男子が話し始めた。

「俺ら、もう戦えそうにないんだ…」

「え?」

「俺もそうなんだが、魔力が尽きたんだ…さっきの戦闘で…だから、俺ら諦めるよ」

「………」

俺たちは何も言えなかった。確かに魔力が少なくなっているのは確かだったから。

「それじゃあな…」

男子と女子が辞退して行った。


「………」

何とも言えない空気になっていた。あの2人がいなくなったことで、戦闘を行いやすいのは確かなのだが…

「チームとしては最悪だな…」

「……そうだね」

仲間を守れなかった。その事実は消えない。

「だから、勝とう!!この大会で!」

「……だな」

みんなが頷き合った。

「ただし、目立つなよ?」

「いや、無理だろ」

「あははは!!」

みんなが楽しそうに笑った。


「よし!行こう!」

俺たちはさらに進んでいった。さらなる強敵と戦うために…


※あとがき

どうも…魁斗です

なんか、大会始まりました…

勝てるか分からないけれど、まあ、頑張ります。


次回、学園対抗戦3 瑞龍学園の獣

お楽しみにー

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