【ガンアクション】夢洲ホームハンター
鷲巣 晶
第1話 この夢の続きを
関西万博が幕を下ろして50年経つ夢洲
私、辻本重蔵の子供の頃に大盛況のまま終わった、あの万博の記憶はまだ、昨日の事のように思い出される
父に関西万博に連れられたあの頃の私はインドネシアや、タイ、マレーシアのパビリオンが特に好きだった
活気にあふれた東南アジアの若者がきっと、日本を、世界を引っ張ってくれると子供ながらに感じたのだ
私の夢はそこで生まれた
彼らを含めた世界中の人々と明るい未来を築きたい、そんなささやかな夢が・・・
私は10代の頃より子ども食堂で働き、移民として来た人々や、日本で差別されている人々の悲しみと、逞しさを知った。
大人になってからは新聞社に就職してジャーナリストとしてペンの力で国内外の差別や社会問題と闘って来た
50歳で日本尊王会の議員として当選できたのも、その時、築き上げて来た仲間たちの協力のおかげだと思っている
思えば、万博で夢見た世界中の人々と明るい未来を気づきたい、それが私の政治活動の原点だった
現在2075年の夢洲は、あの頃よりも、さらに海の埋め立てを進めて、華やかなカジノリゾートを中心にした都市となっている
しかし、華やかなのは表向きだけであり、裏では警察や入管から逃れた移民、難民、犯罪者が多く生活する移民都市である
さらには、異世界からやってきた三大組織のマフィアたちがカジノ利権を元々いた中華系マフィアから奪い取った後は、さらに事態は酷くなった
夢洲を牛耳る三大マフィアたちを恐れて夢洲で起きる犯罪に警察は手が出せず、結果、現在の夢洲は無国籍な移民たちの
私も元々は移民たちが日本で暮らすことを推奨していた
少子化により50年前よりも日本の人口はさらに、減少しており、異世界からでも働き手が必要なのである
それを、排外主義者や差別主義者、極右どもは移民は日本の文化を破壊する、移民による犯罪率が高くなるし、健康保険や生活保護を彼らに適応するのはおかしい、無計画な移民の流入はやめろという
愚かな、私は鼻で笑い飛ばして来た
日本人に比べて移民の方が犯罪率が高いなんてデータは警察は出していない。生活保護、健康保険の取得率についても同じだ
今の、日本の中小企業や介護、産廃などの分野は移民なしでは成り立たない
変な言いがかりをつける前に、勉強でもして自分をもっと磨いたらどうだといつもの私ならば言っていた
しかし、今回は違う
今、近畿圏の都市で10代から20代の若い女性が誘拐される事件が多発している
先月のインターネット放送『報道サテライトステーション』にて
アナウンサー「辻本議員、若者の間では、一連の行方不明事件は移民による拉致なのではないかと囁かれていますが、どう思われますか?」
辻本「君はどこの局だね」
アナウンサー「はい、大阪サテライト放送の西川クリスティーヌですが」
辻本「そうか、西川くん。今は昔と違って移民たちを不当に悪く言えばヘイト罪で捕まるんだ。移民に対するヘイトデモも法律で禁止されている。君の局は何の根拠もなく番組でそんな排外主義的な馬鹿なことを言うのか?大阪サテライト放送は差別主義者の放送局だと思われてしまうよ」
アナウンサー「しかし、ですね、
辻本「私の支援団体の
アナウンサー「さ、差別って・・・。し、しかしですね、辻本議員!」
うるさい
全ての民族が、全ての人たちが平等に過ごす持続可能な多様性社会の実現こそ私、日本尊王会『辻元重蔵』の役目である
なぜ、この女は私の支援団体が拉致をしたなど決めつけるのか
ダメダメ、全然ダメだな
我が国のマスコミも質が下がったものだ
これでは愚かな極右や、排外主義者に移民たちを叩く、口実をあたえているようなものだ
私がジャーナリストをしていた頃のマスコミは、こんなに悪戯に移民を叩いたりしなかったぞ
由々しき事態だ。さらに移民たちと日本人の融和政策を続けなければ
しかし、次の日、私は愕然とする
私の一人娘『ジェーン』が誘拐されたのだ。
防犯カメラによれば娘は、梅田でトラックに乗せられて夢洲へとそのまま連れて行かれた
そして、あろうことか、トラックのナンバープレートには私の後援団体である
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます