日常の「どうでもいい一瞬」って、本当は心のどこかにずっと残っていて、ふとした拍子に思い出すと笑ってしまうことがありますよね。『温かな、こじょはん』は、まさにその“忘れたくても忘れられない瞬間”だけをすくい上げて、ちょっと歪んだレンズで見せてくれる作品だと感じました。
登場人物たちは誰一人として完璧じゃなくて、むしろ不器用で、勘違いして、変に張り切っては空回りしてしまう。でも、その失敗ひとつひとつが、読んでいるこちらの心をじんわり温めてくれます。誇張された描写の裏に、人間の可笑しさと優しさがしっかり息づいていて、読み終えると「今日もなんとかやっていけるかも」と思わせてくれるんです。
勢いだけじゃなく、言葉の選び方が丁寧だから、くだらなさの中にちゃんと温度があります。笑っていいのに、どこか安心もできる感じが好きです。疲れてるときほど、そっと読み返したくなる作品だと思いました。
本作は、毎回飛び抜けた発想と不可思議な世界観を描かれているすちーぶんそん様の、傑作ショートショート集です!
収められている物語には、穏やかな日常に潜む狂気……ではありませんが、穏やかでありながらも可笑しさを感じさせる情景がてんこ盛りで、不思議な魅力を存分に発揮されております。
どの作品も素晴らしいですが、特に気になったものは、
・猫のタマに猫語を翻訳する首輪を取り付け、タマの話す内容をめぐって家族が賭けをする『ニャン権宣言』。
・リゴンドーなる妙な名前の選手と対戦することになった男の心境に迫る『ボクシング』。
・これぞ嫁姑コメディ!な『わざわざ』
・フリーマーケットを舞台に、突然のラップバトル勃発!?しかし、語り手の買い物が一番の謎だった『フリーマーケット』。
他作品も、不思議な笑いの世界に満ちております!
是非ともご一読を!!!