第5話


 6歳になった俺は、ついに家庭教師がつけられた。ゲームでテオルドたちに家庭教師がついたのが3歳だったから、俺はかなり遅れているのだけど。それでも、俺が両親に頼み込んで実現したことだからね。

 流石に知力29は落ち込んだというか。身体がザコでも、頭までザコになっちゃいかんでしょ。え?もう手遅れだって?……聞かなかったことにしていい?


「それでは、今日は帝国の歴史についてお話ししましょうか」

「はぁい」


 家庭教師の先生は、若くてイケメンだ。深緑色の髪を、後ろで縛っている。子爵家の三男なんだって。名前はレアル•ティオール。俺はレア先生って呼んでるよ。穏やかで優しいから、俺大好きだ。机にも座れず、ベッドで勉強してるのに怒られないし。


 レア先生が話してくれる帝国の歴史は、大体ゲーム知識と同じだった。300年前、初代国王様が魔王を倒したのが、今の王家の始まり。魔王が消滅してから、魔獣の脅威も薄まり、平和になったんだって。だから、この国では皆が国王様を慕っている。


「へぇ〜。初代様って、凄かったんだねぇ」


  ゲーム知識で知っていたからか、魔王が復活することを知っているからか、そんなバカみたいな感想しか出てこなかった。


「えぇ。そんな初代国王様を支えていたのが、アーネスト公爵家なのですよ」

「へぇ〜……え!?ま!?」

「今でも、公爵様は現国王様を支える職についております」

「嘘……だろ……」


 確かに、うちの親は屋敷にいるよりも王城にいる方が長いなぁって思ってたけれど!テオ達は悲しがってないかなぁとか思ってたけれど!だって、ゲームでは公爵家とガチガチ敵対していたやんけ!……え、つまりどう言うことだってばよ。

 

「フェリオ様?顔色が悪いですね」

「……う、キャパオーバーです…」

「きゃぱ?まぁ、無理はなさらず、昨日はこれくらいにしましょうか」

「う、うん。ありがとうございました……」


 無念。今日は10分くらいしかできなかった。長い時は30分くらい、勉強続くんだけどなぁ。本当はもっと、勉強したい。


 無能な兄は寝てばかりいる。自分たちはこんなに頑張っているのに!っていうヘイトが溜まっていたのも悪役の原因みたいだし、俺だって頑張らないといけない。たとえ、週一回の10分程度しかない講義だとしても……くすん。


 もっと体力増やして、身体丈夫にしたら、もっと頑張るつもりだもん!!

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