双子達が悪役になる元凶の病弱兄に転生した
@maysa
第1話
ぐらぐらと世界が揺れている。やけに身体が重いし、だるい。あぁ、これは熱をだしてしまったかもしれない。ほんとはもっと寝ていたいところだが、そこは社会人。仕事を休むにしても、連絡しないといけない。仕方なく重い目を開けた。
あれ
「………知らない天井だ」
ぼやけた視界に映る景色は、見覚えのない天井だった。俺の家の天井は、木目調のやつだったはずだ。だけど、なんかやけに豪華なシャンデリア付きの天井にかわっているような。あれ、俺いつリフォームしたっけ?
というかこれ、リフォームの基準値超えてないか?天井が、記憶よりも何倍も広いし。
俺は慌てて起きあがろうとして、違和感を覚えた。身体はとても怠いのに、やけに軽いというか。ちまいというか。
恐る恐る視線を下にやり、自分の身体をみる。
「なっ、なんじゃこりゃ〜!?」
小さくてふにふにとした手のひら。短い腕。小さな身体。どうみても、4歳くらいの子供の身体だった。
か、からだ、小さくなっちゃった!?
頭の中で、とある名探偵のBGMが勝手に流れ出す。
俺は社会人なりたての22歳。彼女なしだが、善良な青年だったはず。目が覚めたら、身体が縮んでしまっていた!?
うーん。なるほど。これは、あれだな。うん。夢だ。
身体はだるいし、熱もずいぶん高いようだ。俺は、熱なんて滅多に出さないから覚えがないが、熱のときは変な夢を見ると聞いたことある。うん、それだな。それしか考えられない。
「フェリオ様!どうなさいました!?」
可愛らしいメイド服を着た女の人が、扉を開けて入ってきた。ふわふわした茶色の髪を低めのツインテールにしてくくっている。年齢は高校生くらいかな?
「えっと……だれ?」
俺の夢のはずなのに、知らない子が出てくるとか何事?
「フェリ、オ、様…?」
メイド服の女の子は、俺のことを、信じられない、といった様に眺めてきて、よろよろと近づいてくる。
「私はカテリアです。フェリオ様のお仕えメイドをしております。……覚えて、おりませんか?」
カテリアという女の子は、大きな瞳をうるうるさせて、今にも泣きそうだ。……やばい、これ覚えてなきゃだめなやつだった?
「えっと、なんか、ごめんなさい」
女の子を泣かしてしまった。三十秒ほど気まずい時間がながれた。
「いえ、いいのです。フェリオ様が元気になってくれたら、それで」
「えぇと、ごめんね。フェリオって、俺のこと?」
2度目の衝撃。2度目の無言。カテリアは目をくわっとひん剥き叫んだ。
「まさか、自分の名前も忘れてしまったのですか!?」
「なまえ?」
夢の中の俺に名前あったんだ?随分と世界観がしっかりしてるね?
「…というか、ここ、どこ?」
その質問をとどめに、カテリアはドタバタと部屋を出て行ってしまった。
「奥様〜!旦那様〜!フェリオ様が大変ですー!!」
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