第十一章・あたらしいじだい
だい51にゃ・みんなで仲良くしましょうね?
『ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ』
『ズン! ズン! ズン! ズン!』
『にゃんにゃーん!』『きゃん!? きゃんきゃん!!』
様々な音を
猫耳の村から数キロ離れた場所で、他の種族が住めるように整備している。
勿論、奴隷だった人たちは解放している、刺客が紛れている場合もあるかもと警戒ししたけど、今の所何もない。
僕の仕事は簡単だ。
風魔法でジャングルの木を切り倒してから、土魔法で根っこを浮き上がらせる。
他にも、ボコボコになっている地面を平らにするぐらいで、他の仕事はマジックゴーレムや他の子たちに任せている。
そんな作業を急ピッチで進めて早一ヶ月。
今では猫の村を超える規模の町が出来上がっていた。
何せ、ハイエルフに連れてこられた奴隷が一万人近くもいたのだから、皆で作業すれば寝泊りする家は直ぐに完成した。
足りないかもと思われた食料も、ジャングルの果物や動物、川や海で魚を取って暮らしいけている。
「それにしても色んな種族が居るんだな~」
僕は作業をしながら周囲を見渡す。
愛すべき猫耳に尻尾は勿論。わっしゃわしゃしたくなる犬耳に尻尾や、両耳を握って持ち上げたくなる兎耳に丸い尻尾や、栗鼠の尻尾が生えている種族も居る。
極め付きには、腕や足に鱗がついている種族までいた。
鱗って、舐めたら味するのかな?
「
ララノアが種族の名前をつらつらと上げていった。
ちなみに、蜥蜴人族は『おで、沼地しゅき』とか言いながら南へ旅立っていった。
大猩々人族も『オー! ッオ! ッオォォ!!』とか言いながらジャングルへ消えていった。
それでも、蜥蜴人族も大猩々人族も少人数だけ残っている。
生活仕様も文化も種族によって大きく違うから引き止めなかったけど、大丈夫だったんだろうか?
特に大猩々人族が問題になりそうな気がするけど、杞憂だといいな~……。
「兎人族って、スタイルよくて色気あって服押し上げてて、とってもソソルネ」
「……えぇ、まぁ、そうですね」
赤い目に白い肌に飛び付きたくなる大きな胸。
うさたんもカワイイ……。
ってかハイエルフ。明らかに戦い向きじゃない人も関係なく突っ込んできたな。
「他の種族もそのうち出ていくって言ってる?」
「少し待って下さい。
にゃー……にゃんにゅにゃ? にゃんにゃんにゅ?」
「にゅ? にゃんにゃ。にゅにぇにゃん! にゃん!」
すっかり僕の言葉も猫耳族の言葉も出来るようになった天才ハイエルフがシャオたんに質問している。
ララノアはシャオたんの言葉を聞きながら頷いている。
「栗鼠人族の一部はジャングルへ、犬耳族の一部も他の場所に居住地を作るみたいです。
兎人族は全員この町に残るみたいですね。彼らは危機回避能力は群を抜いていますけど、戦いはあまり得意ではありませんから」
それはいい事を聞いた。
際どい衣装を作って、お酒を出すビジネスをしよう。
もちろん兎人族は必須だ!!
いや、むしろ僕が
ん? その前にお酒を飲んだ記憶が無いんだけどあるよね?
僕があれこれと商売の仕方を考えていると、ララノアと目が合った。
「……ハイエルフはどうしますか?」
その話は街作りの間に何度も出た話だ。
また攻めて来るであろうハイエルフをどうするのかというものだ。
ずっと考えていたけど、どう行動するかの結論はもう決めた。
「ちょっとハイエルフの本拠地に顔出して潰して来ようと思ってる」
「……私も、それが一番だと思っています」
「にゅにゃ。にゃんにゃん」
「ニャン?」
猫耳拳士が自分の拳を叩きながら僕を見る。
「それでは、有志を募ってこちらから攻め込むんですね。
ハイエルフが残した船を修理すれば大丈夫でしょう。後は猫耳戦士たちの戦闘訓練が終わり次第ということになりますね」
「ニュニャーン!」
「いや、僕一人で行くよ」
「え?」
「にゃ?」
「ニュ?」
話していた三人は勿論、後ろで控えている猫耳剣士も驚きながら僕を見ていた。
「それは……」
「いや、君たちを危険な目に合わせるわけにはいかない。
それに、僕一人の方が暴れられるから」
「にゃ……。にゃんにゃん。にゅ、にゃんにぇにゃ」
「ニャン。ニャニャーン」
「シャオさんもそう言うと思っていたみたいですね。
猫耳拳士さんは戦いたかったみたいですけど……」
シャオたんは僕の手を握りながら見詰めていた。
ララノアも僕を見詰めながら口を開く。
「島の事は私達に任せてください。
ただ、もしもの為に船の準備はしておきます」
「そう言ってくれると助かるよ」
「にゃ、にゅにゃん。にゃんにゃ」
「シャオさんが、必ず剣を持っていくようにと。
それと、必ず帰ってくるようにって言っています」
「分かってるよ! 僕に任せて!」
僕はシャオたんとララノアを抱きしめながらそう言った。
シャオたんはグリグリと頭を僕のお腹に押しつけていた。
ララノアは僕の手を握ってくれていた。
そうして僕は二日後に旅立つことになった。
ハイエルフの住む帝都へと。
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