第3章 因縁 ‐インネン‐

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     ◆   ◆   ◆



 気づくとそこは、くらがりの中。

 先の見えない空間。右も左も、足下も、何も見えない。

 まとわりつく漆黒しっこくやみを振り切るように、ひたすら走る。


 ずるり――


 背後から聞こえた音に、怖気おぞけ立つ。


 ずる、り。ずるり。


 後ろを確認する余裕はない。

 足を止めたら最後。一気に枝折との間合いを詰めて、丸飲みにされる。

 つかまったら終わりだ。

 追いかけてくる音から離れたくて、ひたすら走る。


 ずるり。ずる、ずる、ずる。


 苦しくて、息が続かない。

 ぜいぜいとのどを鳴らしながら、枝折は懸命に走っていた。本人は走っているつもりだった。

 だが、もう足がろくに動いてくれない。


 駄目だめ……つかまってしまう。


 くずおれそうになりながら、枝折は感覚のない重い足を引きずるように動かす。

 助けて――そう願ったら、救い出してくれるだろうか。


≪ツカ、マエ……タ――≫


 枝折の心をせせら笑うかのように、嬉しげな響きがこだました。



     ◆   ◆   ◆

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