第48話 ソラの聞かれたくない思い出

 目が覚めたのは、時計の針が午前の3時を指したころ。

 隣で眠っているはずのソラがいない。

 嫌な予感がする。

 俺は、体を起こす。

 やっぱり部屋のどこにも居ない。

 バスルーム、トイレ、リビングどこにもいない。

 俺は、服を着替え外に出た。

 外を探したけれど何処にもいない。


「あ、不良少年発見」


 そう言って現れたのは優心さんだった。


「優心さん……」


「どうしたの?

 こんな時間に」


「それはこっちのセリフだ。

 今、午前3時過ぎだぞ?」


「ふふふ……

 私は、シャーマンよ?

 幽霊探しに決まってるじゃない」


「そっか」


 聞いた俺がバカだった。


「で、昴はどうしてこんな時間にこんな場所へ?」


「ソラを探しているんだ」


「ソラちゃん?」


 優心さんが、首を傾げる。


「いなくなったんだ、ソラが……」


 すると優心さんの表情が曇る。


「ソラちゃんと何かあった?」


「なにもないよ。

 ただ、ソラの過去について聞いたんだ。

 ソラのつらい思い出話を」


「そう……

 サキュバスの運命について聞いちゃったんだ……」


「ああ」


「サキュバスはね。

 生物との性交を強制される性奴に近い立場でもあるの。

 強くなれれば下克上もありえる種族だけど、拘束具を着けられ子供を産むだけの存在にされることも少なくないわ。

 ソラちゃんは、それを新しい主人である昴には聞かれたくなかったんだね」


「そう……だったのか……」


 やっぱり人の過去なんて聞くもんじゃないな……

 悲しいことしか起こらない。


「わかった。

 私は、このことをギルドの人に伝えるから昴は、このまま探すのを続けて。

 何かあったらメールしてね!」


 優心さんは、そう言ってその場を去る。

 俺は、うなずくことしか出来なかった。

 考えろ。こんなとき女の子はどんな行動をする?

 考えても考えてもわからない。

 俺は、女の子との付き合いがないがなかったのでわからない。

 想像も出来ない。

 ゲームやアニメでは、自殺をしようとする……

 あるいは、敵に……この場合だとテオスに内通しているとか?

 どちらにせよ、いい結果はない。

 俺は、探す。

 必死で探す。

 走り回っているうちにオリハルコンの森が見えた。

 中にいるとか?

 これは賭けに近かった。

 ソラの場所に連れていってくれ!

 俺は強く念じた。

 すると景色が変わっていく。

 ソラの元へ連れていってくれるのか?

 俺は祈る。

 ソラに逢いたい。

 ただ、それだけを祈って……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る