Scene.05 世界は一つではない虚しさ

第35話 ドラゴンの火はやっぱり熱かった。

 静かなる朝が来るはずだった。

 しかし、それは叶わなかった。

 大きな怪物の雄叫び声で俺の目は目覚めた。


「グォォォォォォォォン」


 雄叫びが再び響く。


「な、なんだ?」


 俺は飛び起きてソラの身体を抱きしめる。


「この雄叫び……

 ドラゴン?」


 ソラが、そう言って俺の手をギュッと握りしめる。


「ドラゴン……?」


 そんな生物、本当にいるのか……?

 ってか、スライムもいたしオークもいた。

 そして、ソラもサキュバス。

 ドラゴンの一匹た二匹いてもおかしくないか……

 俺の部屋の扉が開く。

 ミズキさんが、現れる。


「昴君!ドラゴンの群れが来ているわ!

 貴方は、子供たちを連れて避難しなさい!

 ソラさん。昴君たちの護衛をお願い!」


「わ、わかりました」


 ソラが返事をする。


「万桜さんたちも、すぐ来ると思うけどこの場所が子供たちの集まる避難所に一番近いの!

 昴君!貴方にしか出来ないの!私と兵長はこのままドラゴンを倒すわ」


「わかりました。

 子供たちの盾になります!」


 ドラゴン相手にどこまで通じるかわからない。

 だけど、子供たちは死んでも護る。


「自分の命も護るのよ?」


「え?」


 ミズキさんの言葉に俺は少し驚く。


「貴方の顔に自分の命をかけてでも子供たちを護るって感じだったわよ?

 いい?私たちが望んでいるのは死んででも護る強さより生きて護る人材よ。

 死んで護れるのはその時だけ、生きて護れるのは永遠。

 貴方には、その腕もあるでしょう?

 超人的な物理防御力と魔法防御力。

 そして鷹のような素早さ……攻撃力がないのだけが残念だけどね」


 ミズキさんは、静かに目を閉じ言葉を続けた。


「今は時間がないわ。

 早く子供たちを迎えに行ってあげて」


「はい!」


 俺は、ソラと一緒にパジャマ姿のまま子供たちのいる場所へと向かった。


――広場


「あ、昴先生だ!」


 元太君が泣きそうな顔で俺の方に駆け寄る。


「お、元太君。

 無事だったんだね。

 よかった」


「俺は無事だぜ……

 だけど……」


「誰か怪我したの?」


「ああ……

 母ちゃんが怪我をした。

 命には別状はないがよ……」


「そうか……」


 俺は、そっと元太君の頭を撫でる。

 するとドラゴンの雄叫びが、再び響く。


「ドラゴンが来たみたいだね」


 隼人君が小さくうなずく。

 するとドラゴンが数匹、俺たちの前に現れる。


「ド、ドラゴンだー!」


 元太君がその場から走って逃げる。

 ドラゴンは、元太君に向かって火を吐く。

 俺は、自分の体を盾にして元太君を炎から護った。


「熱い……!」


 俺は、思わず声を出す。

 するとソラが、俺に向かい冷却の魔法を唱えてくれえた。


「ありがとう」


 俺は、ソラにお礼を言った。

 流石にドラゴンの炎はやっぱり熱かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る