Scene.04 料理は愛情だけでは美味しくならない虚しさ
第30話 美味しい肉を焼こう
――数日後・ハイキングコース
「万桜さん、これ重いよ……」
亜金君が、唸り声を上げながら荷物を運ぶ。
「亜金君、手伝おうか?」
俺は、そう言って亜金君の荷物を持とうとした。
「ダメよ」
万桜さんが冷たく言い放つ。
「え?」
「これは、罰なの。
仕事をサボって私から逃げた罰……
ねえ、亜金君。
私から逃げれると思った?」
万桜さんの目が怖い。
これは、本気の目だ。
「亜金先生!
おんぶー」
歩ちゃんは、そう言って亜金君の背中に飛び乗る。
うわー。この状況で飛び乗るかな?
子供って残酷だな……
「亜金先生、肉は何キロあるんだ?」
元太君が、そう言って亜金の手荷物を見る。
「20キロだよ。
バーベキューだからね。
野菜も沢山あるからキチンと食べるんだよ?」
「野菜なんて、っぺだぜ?
みんな肉だ!肉だけ食うぞー!」
元太君が嬉しそうにそう言うと肉を亜金君から奪った。
「あ、コラ!」
万桜さんが、元太君を追いかける。
「へへへーんだ!
肉は、俺が貰った!」
元太君は、太い体格なのにすばしっこいな。
万桜さんがスピードで負けてる……
「元太君のスピードなら、万桜先生に引けをとらないでしょう」
充くんが、そう言って自慢のメガネを上に上げる。
「どういうこと?」
「とりあえず、野菜は僕たちで分担しよう」
隼人君が、亜金君のから野菜を預かる。
そして、歩ちゃんと愛ちゃんと充くんに野菜を渡す。
「昴先生は、バーベキューセットを持ってね」
歩ちゃんが、そう言って僕にバーベキューセットを渡した。
「あ、うん……
って、これって君たちの作戦だったの?」
「亜金先生にだけ荷物を持たせるのはね……」
充くんが照れ笑いを浮かべる。
「君たちっていい子だね」
俺は、素直な意見を言った。
「いつもごめんね」
亜金君が小さく謝る。
「え?いつも?」
「亜金先生、しょっちゅう万桜先生の地獄の特訓を受けてるんだー
私たち子供も不出来な先生を持つと苦労するよー」
「ははは……」
歩ちゃんのセリフに亜金君は、苦笑い。
「亜金先生。
いつもの歌を歌ってよ」
「うん……
いいよ」
亜金君は、小さく頷くとゆっくりと歌を歌い始める。
「美味しい肉を焼こう。こんがりお肉を焼こう!」
亜金君が、どこかで聞いたようなことのある歌を歌うと歌い出すと子供たちも楽しそうに歌う。
いつしかそこには、他の子供たちも集まり子供たちひとりがそれぞれ野菜をひと品持ち歩き出す。
俺は、思った。
こういうのを道徳っていうんだろうな……
うん、悪くないな。
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