第22話 恐怖を束ねるもの
玉藻さんが、1匹のオークの首筋に向けて刀を向ける。
「おい。
死にたくなければお前たちのアジトを教えろ」
するとオークは、下品な笑いを浮かべてこたる。
「お前と1発やらせてくれるのなら考えてやってもいいぜ?」
それを聞いた玉藻さんは、刀をオークの下腹部に向ける。
「削ぎ落とされたいか?」
それを聞いたオークが、ぶるるっと震える。
「いや、それは困る……」
オークが、首を横に降った。
「なら話せ……」
「俺たちのアジトの場所は――」
オークが静かに口を開こうとした時、1発の銃弾がそのオークの額を貫いた。
俺は、すぐさまその方向を見た。
人間だった。
髪は長くて顔は綺麗だけど男かな?
先程逃げたショートカットのサキュバスが、首輪を巻かれて苦しそうに暴れていた。
「おしゃべりな雑魚は嫌いだ」
男は小さくそういった。
「お……ねが……い…ごろざないで……」
サキュバスが苦しそうに言った。
「敵前逃亡する雑魚になんの価値がある?」
男の声が、冷たく響く。
「なん……でも……ずる……から」
サキュバスは、目に涙を浮かべている。
「そうか……
なんでもするか……」
美青年は、鼻で笑う。
「はい……」
「では、兵でも産んでもらおうか……」
「え?」
サキュバスの顔が絶望に満ちる。
サキュバスの、服が男の手により破られサキュバスは裸にさせられた。
そして、新しいオークの群れに投げられる。
「おい、サキュバスだぞ!」
オークたちが嬉しそうに笑う。
「この女の魔力は封じている。
好きなだけやっていいぞ」
「……おい!やったぜ。
俺は、昔からコイツと一発やってみたかったんだ!」
一匹のオークが、嬉しそうにそう笑うとサキュバスに襲いかかった。
「嫌だ……」
「なんでもするんだろう?」
涙を流すサキュバスに冷たい笑みを浮かべた。
サキュバスの泣き顔が目に焼きつく。
なんだろう……この気持は……
ダメだ、俺はこの美青年を好きになれない。
「お前……気に入らないな」
美青年は、そう言って俺の方を見る。
「お互い様だ……」
俺は、その美青年を睨む。
「俺の名前は、ヴィン・バレンタイン。
恐怖を束ねるもの。
お前は?」
「小野寺 昴だ」
「覚えておく……
俺のプレッシャーに耐えれるとは鈍感なのか、それとも強いのか……
それはわからない……
見逃してやるから。隣で悶え苦しんでいる仲間を連れて俺の目の前から去れ」
俺は、玉藻さんと優心さんの方を見た。
するとふたりは、体を震わせ涙を流している。
どうする?逃げるか?
逃げることは悪ではない。
だけど、一度逃げると癖になる。
俺は、逃げたくない。
俺は、オークの群れに突撃した。
「愚かな男だ。
そして愚かだ」
ヴィンは、そう言って俺の方にライフルを向ける。
そして、銃弾を放つ銃弾は俺の頭に当たる。
「痛い……
だけど!」
俺は、ヴィンの方を睨む。
「痛いだと?」
ヴィンの冷たい視線が俺を襲う。
俺は、怖いし痛いけど我慢して前進した。
ヴィンは、何度も何度も俺に銃弾を放つ。
痛い!
だけど!!!
俺は、サキュバスの女の子の腕を掴む。
オークが、俺の存在に気づき斧を斧で襲ってきたけれどこれは痛くない。
よかった。
俺にオークの攻撃は効かない。
「何……?」
サキュバスが、涙を流して俺の方を見る。
「何って何?」
俺は、そのサキュバスの体にマントを被せた。
「貴様……なんのつもりだ?」
「なんのつもりだって?
目の前で泣いている子がいる。
だったらすることは決まっているだろう?」
俺はヴィンに質問をしてみた。
「面倒くさい女は殺す。
簡単だな答えだ」
「意見の相違だね。
俺はその涙を笑顔に変えたい!」
「腐っているな。
それより、お前は何者だ?
俺の銃弾を浴びたはずだ。
なにのどうして死なない?」
「お前の腕が悪いんじゃないのか?」
「なら試してみるか?」
ヴィンは、そう言ってサキュバスの方に銃を放った。
だけど、その銃弾は俺が片手で防いだ。
「危ないからやめようよ。
銃は、人に向けちゃいけないんだぞ」
俺の世界ではそうだった。
そのはずだった。
人を殺すための道具だけど。
人に向けて撃ったら怪我だけではすまないかもしれない。
俺にはそれが許せなかった。
「別に殺しはしない。
そいつには、俺の軍の兵の生産機になってもらうからな」
「嫌だね」
俺は、ヴィンの方を睨み返す。
「無駄なことを……」
俺は、全身でサキュバスを守りながら玉藻さんや優心さんがいる場所に向かった。
「ふたりともしっかりしろ!」
俺は大きな声でふたりの方にかける。
するとふたりは恐怖の意図から解けたかのように意識を取り戻した。
「昴……
お前……」
「逃げるよ!
俺が弾避けになる。
痛いけど、弾避けになるから!」
「え?あ、ああ……」
玉藻さんが、小さく頷く。
「アイツなにものなの?
弱い俺にでもわかるよ。
アイツは強いんだよね?」
優心さんが、涙を流しながらそう言った。
「ああ……
ヤツはヴィン。
ヴィン・バレンタイン。
恐怖を束ねるもの……らしい」
玉藻さんが小さく頷く。
恐怖を束ねるもの……
今思ったけど、ボスっぽい感じだな。
俺は、そのままサキュバスを背負い玉藻さんと優心さんと一緒にその場から逃げた。
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